NY為替見通し=ドル円は円買い介入警戒による昨日の下落幅を縮小する流れか

 NYタイムは序盤に9月米NY連銀製造業景気指数(予想 -13.0、8月 -31.3)、同フィラデルフィア連銀(フィリー)製造業景気指数(予想 +2.8、8月 +6.2)といった先行きの見方の動向を示唆する景況指標や、現況を反映した8月米小売売上高(予想 前月比横ばい、7月 横ばい/自動車を除くベース 予想 前月比+0.1%、7月 +0.4%)が発表となる。

 NYとフィリィーの製造業景気指数の予想は、前月との比較で強弱まちまち。もっとも、改善が見込まれるNYにしてもマイナス予想であり、米利上げ局面で景気が思わしくない状況を示しそう。8月米小売売上高も、変動の大きくなりやすい自動車を除くベースでは伸びが鈍化するとの見方。これらが予想範囲内の結果なら、米金利上昇や、それを受けたドル買いの材料になりにくいだろう。

 しかし足もとの動きは、本邦当局の円買い介入を懸念して広がった昨日のドル円の下落幅を少しずつ回復する流れにある。効果が限定的な日本単独の実施となりそうな介入への過度な警戒を緩めつつある。米景気後退をも辞さず高金利が続く状態を容認する米連邦準備理事会(FRB)の姿勢を尊重したドル買い・円売りの流れが明確に反転したとは考えにくい。

 昨日のドル円の下落にしても、145円近辺に達したこともあり、警戒感があるなかで無理に円売りを維持する動機も強まらないとして、いったんポジション調整を入れる安心感もあったことが背景だろう。介入してもらえれば、むしろもう一度有利な水準でポジションを構築し直せるとの思惑があってもおかしくない状態。米利上げが続きそうななかでは、1998年8月に記録した147円台をめどにオーバーシュート気味に上昇することも視野に入れ、上方向をにらんだ状態が続いているとみていいだろう。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値めどは、14日の東京午後序盤の戻り144.57円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値めどは、14日安値142.55円。

(関口)
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