東京為替見通し=日英休場で閑散取引の中、FOMCの0.75%利上げ観測で上値が重い展開か

 16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米ミシガン大学の9月消費者態度指数(速報値)が予想を下回る59.5、期待インフレ率が昨年来の低水準を付けたことで142.86円付近まで下落した。ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)の金融引き締め継続観測や米消費者の期待インフレ率の低下を受けて1.0036ドルまで上昇した。ポンドドルは欧州市場で予想を下回った8月英小売売上高を受けて1.1351ドルまで下落後、NY市場では1.1447ドル付近まで反発した。

 本日のアジア外国為替市場のドル円は、東京市場とロンドン市場が休場で動きづらい展開の中、米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75%利上げ確率上昇で143円台が重い展開が予想される。

 9月の米ミシガン大学消費者マインド指数での1年先のインフレ期待が4.6%に低下し、5-10年先のインフレ期待も2.8%に低下したことで、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での0.75%利上げ確率が82%へ上昇し、1.00%の利上げ確率は18%まで低下している。

 ドル円が先週144.96円まで上昇した背景には、予想を上回る米8月消費者物価指数を受けた1.00%の大幅利上げ確率の上昇があったことで、本日は上値が重い展開が予想される。
 さらに、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感や21-22日に開催される日銀金融政策決定会合で、イールドカーブコントロール(YCC)の「年限の短期化」とゼロ%を中心に上下0.25%程度としている長期金利の「許容変動幅の拡大」という金融政策正常化への警戒感も、ドル円の上値を抑える要因となっている。
 ドル円のテクニカル分析では。ダブル・トップ(144.99円・144.96円)を形成しつつあり、ネック・ライン141.51円を下抜けた場合、約3.50円幅の下落の可能性が高まることで要警戒か。

 12時に予定されているオアNZ準備銀行(RBNZ)総裁の講演では、先週の議会証言と同じような内容、すなわち「インフレ率を目標に戻すにはさらなる引き上げが必要であると予想。ある時点で金利の上昇速度を緩めることが適切となる」が予想されるが、サプライズには警戒しておきたい。

 ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)理事会による追加利上げ観測は買い要因だが、ロシアからの天然ガスのパイプライン「ノルド・ストリーム1」の稼働が無期限停止となっていることで、エネルギー危機への警戒感から上値は限定的か。

 ポンドドルは、今週のイングランド銀行金融政策委員会(MPC)での追加利上げ観測は買い要因だが、エネルギー危機によるスタグフレーション、リセッション(景気後退)への警戒感から売り圧力が強まりつつある。


(山下)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。