ニューヨーク外国為替市場概況・23日 ポンド、急落

 23日のニューヨーク外国為替市場でポンドドルは急落。トラス英政権が打ち出した1972年以来の大規模な減税策と国債増発計画をきっかけに財政悪化懸念が強まると、英国債相場が暴落(利回りは急騰)。英株安・債券安・通貨安の「トリプル安」となった。4時前に一時1.0840ドルと1985年以来37年ぶりの安値を更新した。
 市場では「今回発表された一連の措置に伴う費用は英国の財政では賄いきれず、通貨危機を招く恐れがある」との声が聞かれたほか、「ポンドが信用を失うリスクがあり、1ポンド=1ドルのパリティ(等価)まで下落する可能性がある」との指摘があった。
 なお、ユーロポンドは一時0.8937ポンドと昨年1月以来のポンド安水準を付けたほか、ポンド円は155.45円と3月17日以来の安値を更新した。

 ユーロドルは下落。終値は0.9687ドルと前営業日NY終値(0.9836ドル)と比べて0.0149ドル程度のユーロ安水準だった。高インフレの長期化と金融引き締めによるユーロ圏景気の後退が懸念される中、英国が発表した大規模な減税と大幅な借り入れ増額で金融市場に動揺が広がった。世界同時株安の様相が強まる中、リスク・オフのドル買いも重なり一時0.9668ドルと02年9月以来20年ぶりの安値を更新した。
 主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時113.23と02年5月以来の高値を付けた。

 ドル円は反発。終値は143.31円と前営業日NY終値(142.39円)と比べて92銭程度のドル高水準だった。ダウ平均が一時820ドル超下落するなど、米国株相場が軟調に推移すると、主要通貨に対してリスク・オフのドル買いが先行。円に対してもドル買いが進んだ。9月米製造業・サービス部門PMI速報値が予想を上回ったことも相場の支援材料となり、一時143.46円と日通し高値を付けた。
 もっとも、欧州市場では政府・日銀による円買い介入への警戒感から、瞬間的に1円程度急落する場面も見られた。19時前には142.32円付近、20時過ぎには142.38円付近まで、いずれも143円台前半から一気に下落し、すぐに持ち直した。

 ユーロ円は5日続落。終値は138.93円と前営業日NY終値(140.08円)と比べて1円15銭程度のユーロ安水準。ユーロドルの下落につれた売りが出て一時138.67円と日通し安値を付けた。世界的な株安やポンド円中心にクロス円が下落した影響を受けた。

本日の参考レンジ
ドル円:141.77円 - 143.46円
ユーロドル:0.9668ドル - 0.9852ドル
ユーロ円:138.67円 - 140.27円

(中村)
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