東京為替見通し=ドル円 介入を警戒しながらも底堅さ継続、期末フローには注意

 昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は底堅く、144.90円まで上昇した。米経済指標が軒並み予想を上回り、米長期金利が上昇基調を強めたことがドル買いを促した。ただ、本邦通貨当局による介入警戒感から大台手前では買いが一服した。
 ユーロドルは0.9569ドルまでユーロ安ドル高に振れた。伊政局の不透明感、ウクライナ情勢などが重しとなった。ユーロ円も139円台から138.61円まで売られる場面があった。

 本日のドル円は、米長期金利の上昇基調が強まったままのなかで下値の堅さは継続しそうだ。ただし145円台では「政府・日銀による追加の為替介入を警戒」は変わらず。また、期末に絡んだ実需玉に振らされることにもなりそうだ。

 既に複数のメディアが報じているが、日銀が26日に公表した統計「日銀当座預金増減要因と金融調節」などから、22日の政府・日銀による円買い・ドル売り介入額は3兆円程度(144円換算で約208.3億ドル)と推計されている。1日の円買い介入としては最大規模。

 日本の外貨準備高は1兆2920億ドルだが、すぐに介入資金として使うことができるのは、海外の中銀や国際決済銀行(BIS)などへの預金1361億ドルだ。22日と同程度の介入であれば、残り約6回分となる。ドル円は22日に140円台まで突っ込んだところから、昨日は144円後半まで戻しており、完全に市場に介入資金の限界を見透かされてしまっている。

 本日のスポット応当日は月末・四半期末、そして多くの本邦企業にとっては上半期末ということもあり、期末に絡んだ実需フローが多く持ち込まれる可能性は高い。期末だとドル買いを連想する人は多いようだが、こればかりは出てみないと分からず、期待先行のポジションメイクは避けた方がよいかもしれない。

 フローが出やすいのは、やはり東京仲値(9時55分頃)前後だろう。また、一部の大手邦銀が市場気配値を出す11時頃なども注意すべき時間帯か。ほか、欧州通貨のクロス円などは、欧州勢の参入を待って手当されることも多い。

 ほか、日本時間8時50分に日銀が公表する金融政策決定会合議事要旨は7月20・21日分のため、市場インパクトはかなり薄いと思われる。その後、9時台にはデイリー米サンフランシスコ連銀総裁が講演予定。こちらは大きく上げている米長期金利についての見解が注目か。
 
 10時半に発表の8月豪小売売上高は前月比予想が+0.4%と前回よりプラス幅が縮小する見込み。大きく予想から振れた場合は豪ドルの動意に繋がりそうだ。

(小針)
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