株式明日の戦略-あすは26000円を巡る攻防に注目

 28日の日経平均は大幅反落。終値は397円安の26173円。ダウ平均の6日続落を嫌気して、150円近く下げて始まった。序盤では切り返す動きも見られたが、米アップルがiPhoneの増産を断念したと伝わったことや米長期金利の上昇を受けて、急速にリスクオフムードが高まった。指数は前場で一時下げ幅を600円超に拡大。節目の26000円を割り込んだ。後場は前場とは雰囲気が変わり、26000円より下では買いが入った。一方で上値も重く、26000円近辺で張り付いたような動きが長く続いた。ただ、終盤にかけては下げ幅を縮めており、大幅安ではあったが大引けが後場の高値となった。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆7200億円。業種別ではパルプ・紙、医薬品、精密機器の3業種のみが上昇。一方、海運、不動産、鉄鋼などが大きく売られた。中期経営計画の上方修正を発表したAbalance<3856.T>が後場に急騰して年初来高値を更新。半面、権利付き最終日ではあったが配当利回りの高い海運株が弱く、川崎汽船<9107.T>が4%を超える下落となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり760/値下がり1011。新薬開発に関する好材料があったエーザイがストップ高比例配分。臨床試験で良好な結果を得たことを発表した塩野義製薬に買いが入った。日本製紙、大王製紙、巴川製紙など製紙株が上昇。証券会社の新規カバレッジが入ったライフドリンク カンパニーや、上方修正を発表したオンワードHDが大幅高となった。

 一方、ファーストリテイリングが4%を超える下落。iPhone増産断念観測を嫌気して、TDKや村田製作所が大幅安となった。米長期金利上昇を嫌気して、レーザーテックやメルカリなどグロース株の一角も大幅安。ある企業の決算が同業の売りにつながるといった動きが見られており、スギHDが決算で急落し、ドラッグストア株のウエルシアやツルハが大幅安。売上収益見通しを引き下げたJフロントが大幅安となり、百貨店株の三越伊勢丹や高島屋もJフロントと同程度の下落率となった。

 本日札幌アンビシャスに新規上場したキットアライブ、グロースに新規上場したファインズ、グラッドキューブの3社は、いずれも高い初値をつけたものの、終値は初値を大きく下回った。キットアライブとファインズはストップ安で終えた。

 日経平均は大幅安。ただ、26000円を割り込んだ後は売り崩されることはなかった。引けにかけて値を戻したところを見ると、場中は需給イベントを意識した売買に翻弄されたようでもある。本日の米国株は下落するかもしれないが、そのことを先んじて消化している分、あすは押し目買いが入りやすい地合いを予想する。なお、きょうの終値は26173円。配当落ち分が220円程度あるとみられており、外部環境がニュートラルなら26000円近辺からのスタートとなる。

 6月20日の取引時間中の安値が25520.23円、この日の終値が25771.22円で、これらを割り込む前に強い反発が見られるかが当面の焦点となる。割り込んでしまうと3月が大底ではなかった可能性が出てくるため、そこから先の値動きも不安定となりやすい。その意味ではあす、26000円より上で推移できるかどうかが大きく注目される。また、きょうは全体が大きく崩れる前から、指数寄与度の大きいファーストリテイリングの弱さが目立っていた。この銘柄がどういった動きを見せるかにも注意を払っておきたい。
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