東京為替見通し=ドル円、米金利低下の流れ継続ならば上値を試すのは難いか

 昨日のニューヨーク外国為替市場でドルは全般に弱含み。英中銀(BOE)が英国債券市場を安定させる措置を発表し、英国債が急騰。それにつれて米長期金利も急低下したことでドル売りが全般に広がった。ユーロドルは0.9751ドル、ドル円が143.91円までドル安に傾いた。株式市場が大幅に反発しユーロ円は一時140.40円まで値を上げた。

 本日の東京外国為替市場でドル円は、米金利の上昇一服、政府・日銀による追加の為替介入への警戒感などで144円台での伸びは限定されるか。ただし、日米金融政策の差に何ら変わりが無いなかでは大きく下げることも難しいと思われる。また、大幅反発が期待できる日本株を受けたクロス円の動向にも注目。

 米10年債利回りは昨日、3.70%割れまで低下する場面があった。時間外では一時4.0150%前後と2008年10月以来の高水準まで上昇していた。大幅に利回りを下げた英長期債の動きが波及した形ではあるが、東京時間に限っては、米長期金利が低下した海外の流れが継続してもおかしくないか。そうなるとドル円も積極的に上値は試し難いだろう。

 しかしながら英中銀は先週、追加利上げを決定し引き締め継続を表明した後であり、一時的とはいえ、昨日発表した20年超の英国債の無制限購入はアクセルとブレーキが同時に踏まれている複雑な状況。そのあたりの矛盾を投機筋がいずれ突いてくるかもしれず、英国債券市場が金融市場の火種となる可能性はまだ残っているだろう。本日のロンドン昼頃には、同銀のラムスデン副総裁の講演が予定されている。

 なお、月末・四半期末、そして多くの本邦企業にとっては上半期末を明日に控え、本日も期末に絡んだ実需フローに振らされる局面もありそうだ。午前中では、東京仲値(9時55分頃)や、一部の大手邦銀が市場気配値を出す11時頃などの値動きには注意したい。

 また、大幅に続伸した原油先物の動向、それに伴うカナダドルの値動きにも注目。押し上げ要因とされたハリケーン・イアンの状況には気を付けておきたい。

(小針)
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