株式明日の戦略-権利落ち初日に強い上昇、リバウンド相場に突入できるか

 29日の日経平均は大幅反発。終値は248円高の26422円。欧米の長期金利が低下して米国株が大幅高となったことを受けて、寄り付きから3桁の上昇。配当落ち分を埋めて始まったことで、開始直後には上げ幅を200円超に広げた。26500円を前にしては上値が重くなり、いったん失速。上げ幅を2桁に縮め、前場は安値圏で終えた。しかし、後場は改めての買いが入って上げ幅を拡大。ここでも26500円に接近したところでは上値が抑えられたが、大きな失速もなく高値圏で取引を終えた。配当落ち分が220円程度あることを踏まえると、実質的には400円超上昇したことになる。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆2400億円。業種別では医薬品、繊維、陸運などが上昇した一方、海運、鉄鋼、銀行などが下落している。きのうストップ高比例配分となったエーザイ<4523.T>が、きょうも場中には値が付かず、連日のストップ高比例配分。半面、日本郵船<9101.T>など海運大手3社は、配当落ちの影響で見た目の水準が大きく切り下がったが、それを考慮した基準値との比較でも大幅な下落となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1237/値下がり536。前日大幅安となったファーストリテイリングが強い上昇。株式分割により最低売買単位が大きく切り下がった任天堂が買いを集めた。証券会社が目標株価を引き上げた塩野義製薬が5%を超える上昇。ANYCOLORが商いを伴って急騰した。八十二銀行と経営統合に向けて基本合意したと発表した長野銀行が年初来高値を更新。新拠点開設に関するリリースを手がかりにラバブルマーケティングがストップ高となった。

 一方、米長期金利は低下したものの、半導体株はさえない動き。東京エレクトロンやSCREENが年初来安値を更新し、レーザーテックが2%近い下落となった。米国でアップルが下落したことからTDKが軟調。下方修正を発表したオークワや西松屋チェーンが大幅安となった。

 本日グロースに新規上場したプログリットは、高い初値をつけたものの、その後にストップ安まで売られる場面があり、終値は初値を大きく下回った。同じくグロースに新規上場したポーターズは、買いが殺到して初値は持ち越しとなった。

 日経平均は大幅上昇。戻り売りをこなして後場に上げ幅を広げており、強い動きであったと言える。下げが続いていたダウ平均にようやく強い反発が見られたが、米長期金利の上昇にブレーキがかかったことは安心材料。金利低下を促したのは英国要因であるため、これで米金利の上昇が止まると考えるのは気が早い。ただ、直近の上がり方がかなり急であったこともあり、短期的には逆回転で金利低下と米国株のリバウンドが続く展開も期待できる。日経平均はきのう長い下ヒゲをつけてきょうは陽線と、下げ止まりそうな雰囲気が出てきた。5日線(26550円、29日時点)を早々に突破して、戻りに弾みをつけたいところだ。
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