株式明日の戦略-乱高下を経て大幅上昇、月替わりで地合いも改善に向かうか

 10月初日となる3日の日経平均は大幅反発。終値は278円高の26215円。前週末の米国市場ではダウ平均が500ドル安となり、主要3指数がそろって終値で年初来安値を更新。これを嫌気して3桁安からのスタートとなり、序盤では下げ幅を300円超に広げた。しかし、10時近辺からレーザーテックや東京エレクトロンが急伸するなど、主力ハイテク株に強い買いが入ったことで、地合いが改善。指数は急速に下げ幅を縮めてプラス圏に浮上した。26000円台を回復して26100円台に乗せたところでいったん買いは一巡。大きな動きのあった前場に対して、後場は小動きの時間帯が長かった。ただ、終盤にかけてスルスルと上げ幅を広げており、高値圏で取引を終了。一時25600円台まで下げたところから26200円台で終えており、ローソク足では実体の長い陽線を形成した。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆9100億円。業種別では海運、輸送用機器、鉱業などが上昇している一方、電気・ガス、小売、水産・農林などが下落している。出資分配金の計上に伴い、通期の経常利益見通しを大幅に引き上げた東京インキ<4635.T>が急騰。半面、3Qの利益は計画に対して高い進ちょくとなったものの、通期見通し据え置きが失望を誘ったスター・マイカ・ホールディングス<2975.T>が急落している。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり893/値下がり883と、後場に入って値上がりが値下がりを上回った。直近の動きが悪かった銘柄の多くが買われた1日で、東京エレクトロンが4.6%高。レーザーテックは6月の水準を下回り年初来安値を更新した後に、切り返して3.2%高と大きく上昇した。日本郵船が5%超上昇するなど海運株が大幅高。ドル円が円安に傾斜して145円台に乗せる場面があったことから、トヨタやSUBARU、三菱自など自動車株に買いが入った。今期の強気見通しや大幅増配計画を提示した三益半導体は、半導体株への風向きが良くなる中で12.5%高と急騰した。

 一方、小売株で弱いものが多く、日経新聞で業績上振れ観測が報じられたセブン&アイは、市場の期待に届かなかったことが嫌気されて4.3%安。上期減益着地のニトリは引けでは持ち直したものの、場中に大きく売られる場面があった。先週売り込まれていた銘柄に買いが入った一方で、先週人気化したエーザイが大幅安。9月に年初来高値を更新したJR各社(東・西・東海・九州)が売りに押された。業績見通し引き上げよりもSBIネオモバイル証券との業務提携解消が嫌気されたウェルスナビが急落。今期は営業赤字に転落見込みとなった識学がストップ安となった。

 10月初日の日経平均は、大幅安から大幅高と慌ただしい動きとなった。急に動きが良くなってきた東京エレクトロンやレーザーテックも後場には伸び悩んでおり、各社のファンダメンタルズが評価されたというよりも、月替わりで需給に変化があったと捉えた方が良さそうな上がり方ではある。それでも、(1)米国要因ではなく、場中に大きな動きが出てきて切り返したこと、(2)安値が25621円までで、6月安値(25520円)に接近しながらこれを下回らなかったこと、(3)引け味が良く高値圏で終えたこと―などはかなりポジティブな動き。すぐ上に控えた5日線(26264円、3日時点、3日終値は26215円)を突破できれば、27000円台前半までは抵抗となりそうな水準が少ない。下げトレンドを脱却できるか、あすの動きが重要となる。
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