株式明日の戦略-先週は4桁安で今週は4桁高、来週は米CPIが最大の注目に

 7日の日経平均は5日ぶり反落。終値は195円安の27116円。米国で長期金利が上昇してダウ平均が大幅安となったことを嫌気して、300円超下げて始まった。寄り付きから節目の27000円を下回ったが、売り崩す動きが見られなかったことから押し目買いが入って下げ幅を縮小。しばらく値を戻す流れが続いた。11時近辺で27200円に接近したところでは頭打ち感が出てきて、後場に入ると売り直された。しかし、27100円より下では踏みとどまり、以降は27100円近辺でのもみ合いが引けまで続いた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆7200億円。業種別ではプラスは陸運と空運の2業種のみで、水産・農林が小幅な下落。一方、海運、保険、機械などの下げが大きかった。1Qの経常利益が前年同期比2.8倍となった毎日コムネット<8908.T>が大幅上昇。反面、クリーク・アンド・リバー社<4763.T>が上期決算を材料に急落した。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり500/値下がり1254。値下がり業種が多い割には売買代金上位銘柄には強い銘柄が結構あり、レーザーテックが3.7%高。5%超上昇する場面もあり、売買代金は断トツのトップとなった。JR東海やJALなどレジャー関連が強い上昇。上方修正を発表したロームが大幅高となった。マイクロ波化学やダブルスコープが急伸。決算を材料に乃村工芸社が年初来高値を更新し、同業の丹青社にも連想買いが入った。

 一方、2Qの個別出荷額が前四半期比でマイナスとなったディスコが7.1%安。決算を発表したセブン&アイやローソンが売りに押された。米長期金利は上昇したが金融株は弱く、三菱UFJ、第一生命、T&Dなどが大幅安。日本郵船など海運株が後場に入って下げ幅を広げる弱い動きとなった。三連休を前に、FIXER、グッピーズ、ポーターズなど直近上場株が手じまい売りに押され、ノーベル文学賞で日本人の受賞がなかったことで、文教堂が象徴的に売り込まれた。

 本日グロースに新規上場したキューブは、公開価格を2%程度上回る初値をつけたが、終値は初値を大きく下回った。

 日経平均は先週、週間で4.5%下落し、今週は4.5%上昇した。先週の下げは何だったのかというくらい鮮やかに切り返したが、来週は米消費者物価指数(CPI)を消化するハードな週となる。調整はあって当然だが、今週の貯金(週間では約1178円の上昇)をすべて吐き出してしまうような場合には、その先はかなり厳しい展開になると考える。弱くても今週の上昇分の半分以下の下げにとどめてほしいところで、半分以上削られてしまうと、警戒ムードの強い地合いが続くことになるとみる。一方、もし、来週下落ではなく上昇するようなら、売り方の買い戻しを巻き込んだ強いラリーが始まるだろう。その場合、10月は月の後半から3月決算企業の上期業績が出始めるので、個別の決算反応も良くなる可能性が高く、11月中旬辺りまではブル基調が期待できる。


【来週の見通し】
 軟調か。12日に9月開催のFOMC議事録が公表され、13日に米国の9月CPIが発表となる。9月のFOMCは直前で1%利上げの可能性が浮上するくらいFRBの金融引き締めへの警戒が高まっていたことから、議論の中身はタカ派色が強かったと推測される。そして前月9月は、8月の強いCPIを確認したところから米国株が大崩れした。9月のCPIがそこまで強い内容とならなければ、これを消化する金曜14日には強い買いも期待できるが、その手前まではどうしても警戒売りに押されることになるだろう。先月同様、CPIが地合いを一気に悪化させる可能性もあり、週間では下落を予想する。なお、13日の引け後には指数寄与度の大きいファーストリテイリングの本決算発表も予定されている。金曜14日は、上がるにしても下がるにしても振れ幅が大きくなるとみておいた方が良い。
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