東京為替見通し=本邦通貨当局のドル売り・円買い介入の可能性に要警戒か

 13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、9月米消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことで、1998年8月の高値147.66円を上抜けて一時147.67円まで上昇した後、146.50円まで反落した。ユーロドルは0.9633ドルまで下落後、0.9806ドルまで反発した。ユーロ円は141.78円まで下落後、144.09円まで反発した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米9月消費者物価指数(CPI)を受けた11月1-2日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのFF金利0.75%利上げ確率が高まったことで堅調推移が予想される。しかし、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には引き続き要警戒となる。

 米9月CPIは、前年比+8.2%、前月比+0.4%、コアCPIは1982年以来の高い伸び率となる前年比+6.6%、前月比+0.6%と発表された。
 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、11月のFOMCでの0.75%の利上げ確率は97.8%程度、12月FOMCでは66%程度まで上昇している。そしてターミナルレート(利上げの最終到達点)は、4.85%(FF金利:4.75-5.00%)付近だと示唆されている。

 ドル円は、147.67円まで続伸して、1998年8月11日の高値147.66円を1銭だけ上回った。その後、146.50円まで反落する局面があったことで、ワシントンで開催されていたG-7財務相・中央銀行総裁会議に参加している鈴木財務相や神田財務官が、ドル売り・円買い介入第2弾を断行した可能性が指摘されている。

 本日の東京市場では、本邦通貨当局から、ニューヨーク市場での1円程度の下落がドル売り・円買い介入だったのか否か、そして、「過度な変動」に対する断固たる措置としての円買い介入が行われるのか否かを見極めることになる。
 ドル売り介入の原資である外国為替資金特別会計(外為特会)は、過去の円高局面でのドル買い・円売り介入の結果として1兆ドル以上のドルを抱えている。市場筋の推定では持ち値が100円程度とのことで、国会では40兆円以上に膨らんだ外為埋蔵金の有効活用が言及されていた。世界最大の米国債保有者である米連邦準備理事会(FRB)は、6月からの量的金融引締政策(QT)により、米国債の売却を開始しており、9月からの売却額は600億ドルとなっている。米国以外での最大の保有国だった中国は、米中関係の緊迫化により、凍結される恐れのある米国債を売却し始めている。中国を抜いて最大の保有国となった日本も、売られ続けている米国債保有は減らすべきではないだろうか。

 ドル円のエリオット波動分析によると、現状は、第1上昇波動(75.35円~125.86円:+50.51円)に続く第3上昇波動(101.19円~)を形成中であり、第1波動=第3波動と仮定すれば、目標値は151.70円となる。ドル円の高値到達時期は、ドル高8年サイクルにより、2023年6月頃となっている。その上の目標値は、「斜行三角形」の起点である1990年4月17日の高値160.20円となる。


(山下)
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