東京為替見通し=本邦通貨当局の出方を見定め、RBA金融政策にも要注目

 3日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、9月米ISM製造業景気指数が50.9と予想を下回り、米10年債利回りが3.5655%前後まで大幅に低下したことで144.16円まで下落後、144.79円付近まで反発した。ユーロドルは米長期金利の急低下を受けて、0.9844ドルまで強含みに推移した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、9月東京都区部消費者物価指数を確認後は、145円台に「神田シーリング」が設定されているのか否かを見極める展開が予想される。

 昨日のドル円は、9月22日のドル売り・円買い介入以来となる145.30円まで上昇したものの、鈴木財務相の介入示唆発言「必要に応じて断固たる措置を取る」などにより伸び悩む展開となった。145円台での円買い介入がなかったため、「神田シーリング」は145円台という水準ではなく、22日のような急激な円安にブレーキをかける臨機応変の対応かもしれず、本日も本邦通貨当局の出方を見定めることになる。

 本邦通貨当局の介入スタンスは、実需の円売りや円買いを相殺する介入となっている。すなわち、9月22日の円買い介入金額2兆8382億円は、8月の日本の貿易赤字2兆8172億円という実需の円売りを相殺している。

 8時30分に発表される9月東京都区部CPI(生鮮食料品除く総合)は前年比+2.8%と予想され、8月の前年比+2.6%からの上昇が見込まれている。東京都区部CPIは全国CPIの先行指標と見なされていることで、予想通り上昇していた場合、9月の全国CPIが上昇する可能性が高まることになる。また、10月の全国消費者物価指数は、携帯料金引き下げ効果の剥落で+0.4%程度の上昇要因になることから3%台乗せが予想されている。

 昨日発表された9月調査の日銀短観では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)がプラス8と発表され、3四半期連続での悪化だった。すなわち、今年のドル高・円安傾向がプラス要因となっていないことが示唆されたことになる。また、日本銀行が物価の基調を判断する上で重視している「企業の物価見通し」では、企業が想定する消費者物価(CPI)の前年比上昇率は平均で1年後が2.6%、3年後が2.1%、5年後が2.0%となった。5年後は初めて2%の大台に到達しており、2014年以降の最高を更新している。

 12時30分には、豪準備銀行(RBA)政策金利が発表され、利上げ幅や声明文に注目することになる。
 RBA理事会では、5月理事会から5回連続での0.50%の追加利上げ、すなわち、2.35%から2.85%への利上げが予想されている。最近の理事会での声明文やロウRBA総裁の発言では、利上げペースを緩める可能性に言及されているため、本日も声明文に要注目となる。


(山下)
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