ロンドン為替見通し=ポンドドル 英首相への「期待感だけ」で上値を伸ばせるか

 本日のロンドンタイムでは、英国のスナク新首相への「期待感だけ」でポンドドルが更に上値を伸ばせるかに注目したい。同首相は昨日の就任演説で「経済の安定と信頼を中心課題にする」とアピール。財政規律の重視が示唆されたことを好感して英国長期債には再び買いが入り、10年債利回りは約1カ月ぶりの低い水準となる3.56%台まで低下する場面もあった。ポンドドルも9月半ば以来の1.15ドルに迫った。

 スナク新首相にはまず、400億ポンドの財政赤字を埋めるための財源を探し当てるという大仕事が待ち構えている。英タイムズ紙によれば、スナク首相は本日、増税・支出削減案についてハント財務相と協議するもよう。また新首相は月末に予定されている中期財政計画発表の延期を検討していると報じられている。

 財政計画の発表はもともと11月下旬に予定されていたが、市場の混乱を落ち着かせるためにクワーテング前財務相が10月31日に前倒ししていた。市場には安心感が広がりつつあっただけに、計画発表先送りを嫌気する動きとなるかもしれない。

 ユーロに関しては、天然ガス価格の下落は支援要因。オランダTTFガス先物は8月の高値圏から3分の1も低い水準で取り引きされている。ロシアのウクライナ侵攻前の水準よりは上だが、ガス価格高騰による経済鈍化懸念は今のところ後退していると言ってよさそうだ。

 ただ緊迫したままのウクライナを巡る情勢には依然として目を向けておく必要はあるだろう。昨日はロシアが核演習の実施を米国に通告したことが伝わった。米国防総省はロシアが核兵器を使う兆候はないとしながらも、状況の深刻さは変わらないのではないか。

想定レンジ上限
・ユーロドルは9月20日高値1.0051ドル、ポンドドルは同月15日高値1.1549ドル。

想定レンジ下限
・ユーロドルは日足一目均衡表・転換線0.9841ドル、ポンドドルが同・転換線1.1280ドル。


(小針)
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