株式明日の戦略-来週はFOMCに要注目も個別重視の様相が強まるか

 28日の日経平均は大幅続落。終値は240円安の27105円。米国株はまちまちも、アマゾンとアップルが決算を受けて時間外で大幅安となったことが嫌気され、寄り付きから200円を超える下落。すぐに下げ幅を300円超に広げたが、節目の27000円を割り込んだところでは押し目買いが入って値を戻した。しかし、下げ幅を2桁に縮めてくると、戻り売りが上値を抑えた。日銀の金融政策は大方の予想通り現状維持。これを確認した後場は改めて売られる流れとなって下げ幅を拡大。27000円は割り込まなかったものの、後場の安値圏で取引を終えた。プラス圏に浮上する場面もあったTOPIXも、終盤に失速して下落で終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で5兆7600億円。本日はTOPIX浮動株比率変更に伴うリバランス需要が見込まれており、商いは膨らんだ。業種別では輸送用機器、陸運、サービスなどが上昇した一方、海運、精密機器、鉱業などが下落した。通期の利益見通し引き上げや中間増配を発表した大同特殊鋼<5471.T>が急伸。半面、三井松島ホールディングス<1518.T>がストップ安。豪州リデル炭鉱に隣接する鉱区延長が否認される決定が出てきたことが売り材料となったもよう。当件に関して後場に会社側から現時点で今期業績への影響はないとのコメントが出てきたものの、株価はストップ安で張り付いたまま終えた。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり598/値下がり1170。上方修正を発表したOLCが5%を超える上昇となり、終値で2万円台に乗せた。イビデン、新光電工、フタバ産業などが業績関連のリリースを材料に急伸。今期の見通し提示が安心材料となった日野自動車が大幅高となった。デンソーが通期の利益見通しを据え置いた(引き下げなかった)ことで、業績懸念が和らいだトヨタが買われるといった動きが見られた。足元で派手な値動きが注目を集めているバンクオブイノベーションが、19%高と騰勢を強めた。

 一方、下方修正を発表した発表したファナックが5%を超える下落。日本郵船は日経新聞で上期の経常利益が会社計画を小幅に上回るとの観測記事が出てきたが、小幅が嫌気されたか株価の反応は売りとなった。上方修正を発表した信越化学は高く始まったものの、買いが続かず下落で終了。ドリコムや田岡化学が決算を受けて急落した。権利落ちの関係でAB&Companyなど10月決算銘柄の見た目の下げが大きくなった。

 本日グロースに新規上場したpluszero(プラスゼロ)は、買い殺到で初値は持ち越しとなった。

 来週はFOMC(11/1~2)が注目のイベントとなる。ウォールストリート・ジャーナルの報道を材料に、市場では米国の金融引き締めに対する警戒が大きく後退しているが、FRBから先の利上げペース鈍化に向けての言質が取れるかどうか。期待させる話はマスコミに委ねて株式の暴落を防ぎ、自らは引き続きタカ派姿勢を貫くといった展開も想定されるだけに油断はならない。為替と米長期金利の動向が大きく注目される。今週はこれらの動きが変わってきたことが、報道に真実味を与え、米主力グロース株のネガティブな決算が続出する中でもリスクオフの相場にはならなかった。

 FOMCを通過しても米国の長期金利が大きく上昇しなければ、年末に向けて楽観ムードが高まる展開も期待できる。その場合、ドル円は円高に振れることにはなるだろうが、今のドル円の水準は多くの企業の想定レートより上(円安)であり、外需企業の業績へのネガティブな影響は限定的だろう。日本株には「悪い円安」が解消に向かうというポジティブな見方が出てくる可能性もある。


【来週の見通し】
 上値の重い展開か。11月相場に入るが、FOMC(11/1~2)があり、金曜4日には米10月雇用統計が出てくることから、米国の金融政策や長期金利に神経質となる地合いが想定される。市場では米国の利上げペース減速期待が高まってはいるが、11月FOMCではまだ大幅利上げ継続が濃厚。FRBのスタンスが軟化するにしてもデータ次第ではあるため、雇用統計を前にしては身構える状況が続くと思われる。ただ、国内は決算発表真っただ中。加えて、東京市場は3日が休場で、FOMCの結果を消化するのは金曜4日となる。FOMC後の2日分の米国株の反応を確認できる上に、FOMCで何が出てきても決算の良いものには買いが入ると見込まれることから、売り一色といった流れにもなりづらい。今週同様、ある程度ボラタイルな相場を許容しながら、個別の選別が進むだろう。
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