株式明日の戦略-日欧の中銀イベントを波乱なく消化できるか

 27日の日経平均は4日ぶり反落。終値は86円安の27345円。まちまちの米国株を受けて、寄り付きは小幅安。序盤ではプラス圏とマイナス圏を行き来するなど、前日終値近辺でのもみ合いが続いた。ただ、大きく下げてくると持ち直す一方で、プラス圏に浮上したところではすぐに戻り売りに押されたことで、次第に買いづらさが意識された。後場に入るとマイナス圏が定着し、じわじわと下を試しに行った。引け間際には下げ幅を3桁に広げる場面もあり、安値圏で取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆6800億円。業種別では鉱業、電気・ガス、石油・石炭などが上昇した一方、銀行、海運、繊維などが下落した。上方修正を発表した日立建機<6305.T>が大幅上昇。半面、フューチャー<4722.T>は3Qが大幅増益となったものの、目先の材料出尽くし感が強まり大幅に下落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり484/値下がり1273。米金利低下を受けて、レーザーテックが大幅上昇。ソフトバンクGが年初来高値を更新した。決算が好感された九電工、カプコン、富士通ゼネラルなどが大幅上昇。証券会社の新規カバレッジが入ったANYCOLORが買いを集めた。リリースを材料にトビラシステムズやKudanが急伸。Atlasやソシオネクストなど直近上場の一角が人気化した。

 一方、三菱UFJや三井住友など銀行株は米金利の低下を嫌気して大幅安。地銀株が軒並み大きく水準を切り下げた。ドル高修正で為替が円高に振れたことから、トヨタ、ホンダ、SUBARUなど自動車株が全般軟調。純利益見通しを引き下げたキヤノンが6%を超える下落となり、決算内容から家庭用プリンターの販売減速懸念が高まったことから、エプソンやリコーなど同業が警戒売りに押された。ほか、弁護士ドットコムや信越ポリマーが決算を材料に大幅安となった。

 本日はスタンダードに新規上場したFCE Holdingsは、高い初値をつけたものの、終値は初値を大きく下回った。

 日経平均は4日ぶり反落。安値圏で終えた形にはなったが、値下がり銘柄が多かったことを踏まえると、2桁の下げでとどまったのは健闘したとも言える。本日、欧州ではECB理事会が開催される。米国ではアップルやアマゾンの決算が発表予定であるほか、7-9月期GDP速報値や9月耐久財受注など注目の経済指標もある。国内ではあす、日銀金融政策決定会合の結果が発表される。引け後の黒田総裁会見も要注目で、慌ただしい1日が予想される。

 欧米の長期金利に大きな動きが出てくるかどうかが最大の注目点。米国に関しては、観測報道で利上げペース減速期待が高まっている。現状ではタカ派色を強めているECBのスタンスが軟化するようなら、市場ではFRBのスタンス変更を先取りする格好でリスクオンムードが高まるだろう。一方、ECB理事会やラガルド総裁会見で金融引き締め強化を強調するスタンスが示されれば、楽観に傾き過ぎたとの見方が浮上し、欧米の長期金利が急上昇することで、リスクオフに傾く展開も想定される。なお、日銀会合に関しては、金融政策は現状維持が濃厚。ただし、発表近辺や総裁会見が控える引け間際には、ドル円の動きが荒くなる可能性がある点には注意を要する。
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