株式明日の戦略-後場伸び悩むも3日続伸、下値切り上げのトレンドが続くか

 26日の日経平均は3日続伸。終値は181円高の27431円。米国では長期金利が低下したことで、米国株が大幅高。これを受けて寄り付きから3桁の上昇となった。決算を発表したアルファベットやマイクロソフトが時間外で大きく下げていたが、これが売り材料とならずに直近高値を超えてきたことから、前場では買いが買いを呼ぶ展開。節目の27500円を超えて、上げ幅を300円超に広げた。一方、後場は上昇一服となり、値を消す流れが続いた。前場の貯金が大きかった分、3桁の上昇とはなったものの、27500円は下回り、後場の安値圏で取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆7000億円。業種別では医薬品、サービス、その他金融などが上昇した一方、海運、陸運、石油・石炭などが下落した。今22.12期は営業黒字を確保できる見込みとなったサイボウズ<4776.T>が急伸して年初来高値を更新。半面、経営再建に関して、銀行団の協議が難航しているとの観測が伝わった東芝<6502.T>が取引終盤に値を崩した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1218/値下がり547。このところ派手に上昇しているバンクオブイノベーションが、値幅が広がって取引時間中に値がついてリリースもあったことから、個別では全市場で売買代金4位の大商いとなって44.5%高。米金利の低下を受けて、エムスリー、リクルート、メルカリなどグロース株に買いが入った。上方修正を発表したシマノが5%を超える上昇。業績関連ではリョーサンやテセックが急伸した。ほか材料のあったところではセプテーニHDとの資本業務提携が好感されたand factoryが値を飛ばした。

 一方、レーザーテック、東京エレクトロン、日本電産などハイテクの一角が軟調。証券会社の投資判断引き下げを受けて海運大手3社がそろって大幅安となった。決算を発表したキヤノンMJとキヤノン電子がそろって大きく下げており、キヤノンも警戒売りに押された。下方修正と配当見通し引き下げを発表した大末建設が急落。3Q速報値が前年同期比で大幅減益となり、3Qの無配も発表したGMOフィナンシャルが年初来安値を更新した。

 本日はAtlas Technologiesとリンカーズの2銘柄がグロースに新規上場。どちらも高い初値をつけたが、終値は初値を大きく下回った。

 日経平均は直近高値を上回り、一時27500円も上回ったが、後場は失速した。後場に一段高となれば、日本株に対する見方が一気に良くなりそうでもあっただけに「惜しい」1日。それでも、今晩の米国株が下げるであろうことが予想された中での3桁上昇は特筆される。今週はこの後にも注目イベントが多いが、基調としては下値を切り上げていくとの期待が高まってきた。

 あす国内では日銀金融政策決定会合、欧州ではECB理事会が開催される。ECBはタカ派姿勢を強めており、日銀のアナウンスは足元で為替市場を大きく刺激している。どちらも東京市場で結果を消化するのは金曜28日だが、結果発表を前にあすはリスク回避の動きが強まるかもしれない。アルファベットやマイクロソフトの決算を消化する本日の米国株がどういった動きを見せるかが注目される。大きく崩れるようなら日本株も不安定となるだろう。しかし、これらの銘柄が大きく下げても全体へのネガティブな反応が限定的であれば、日本株は米国株安をある程度織り込んでいる分、売りは抑制されて底堅く推移する展開も期待できる。
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