株式明日の戦略-終日軟調で週間でも下落、来週は決算に中銀イベントと材料満載

 21日の日経平均は続落。終値は116円安の26890円。米国株安を受けて、寄り付きは100円近い下落。安く始まった後は、26900円を割り込むと切り返した一方、27000円に接近すると戻り売りに押され、26900円近辺でこう着感が強まった。半導体株には強く買われるものも散見された一方、インバウンド関連の多くが売りに押され、全体としては値下がり銘柄が多い状態が続いた。後場も小動きの時間帯が長かったが、大引け間際に安値をつけるなど終盤にかけての動きが弱く、終値では26900円を下回った。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆5900億円。業種別では石油・石炭、海運、鉱業などが上昇した一方、陸運、空運、倉庫・運輸などが下落した。上方修正を発表したスポーツフィールド<7080.T>がストップ高。半面、上期の見通しを引き下げたツガミ<6101.T>が後場に入って急落。牧野フライス<6135.T>やオークマ<6103.T>など、他の機械株にも売りが波及した。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり350/値下がり1422。米国で半導体製造装置のラムリサーチが決算を受けて大幅高となったことから、レーザーテックや東京エレクトロンが大幅上昇。決算も買い材料となったディスコは8%近く上昇した。韓国子会社の株価上昇などを手掛かりにダブルスコープが急騰。前日メディア報道を材料にストップ安となったレオパレス21が反論のリリースを出して買いを集めた。良品計画、ニトリ、西松屋など小売専門店の一角が買われたほか、くら寿司や「スシロー」を展開するF&LCなど、回転寿司業態の強さが目立った。

 一方、直近までインバウンド需要回復期待を背景に買われていた銘柄が売られており、JAL、ANA、JR東海などが軟調。西武HDや小田急など私鉄株が軒並み安となった。HISは証券会社の投資判断引き下げもあって4%を超える下落。和心、ソースネクスト、エアトリ、寿スピリッツなどの下げも大きかった。開発中の「SB623」に関して、今期中の承認取得はないと判断していると公表したサンバイオが18%安。きのう新規上場して初日にストップ安となったビジネスコーチが見切り売りに押されて急落した。

 来週は日米の決算を多く消化する週となるが、日銀会合があるため為替動向にも大きな注意を払う必要がある。前回9月22日の日銀会合後、夕方に政府・日銀は為替介入を実施した。この時、ドル円は145円台から一気に140円台まで円高に振れたが、三連休明けの26日には143円台まで戻し、円安抑制効果は一時的にとどまった。そして直近では、きのう20日に32年ぶりの150円台に乗せている。

 日銀が欧米のスタンスを踏まえて「場合によっては緩和を修正する必要もある」といったアナウンスを出せば、一方的な円安にはブレーキがかかるはず。しかし、現状で日銀は米国などとは置かれている状況が違うとの姿勢を鮮明にしている。これを受けて円安が進むことは投機的でも何でもなく、教科書的な動きである。今回もまた会合近辺で介入を行えば、円安はいったん止まるかもしれない。しかし、介入だけではトレンドを変えることはできない。32年ぶりの水準ということは、そこから先は青天井となる可能性もある。円安を止めたいのであれば、日銀は市場に対してこれまでとは違うアプローチを試みる必要がある。


【来週の見通し】
 一進一退か。国内では決算発表がスタートし、米国でも決算発表が本格化する。米国ではアルファベット、マイクロソフト、メタ、アップル、アマゾンと主力グロース企業の決算が連日で出てくる。国内でも日本電産、キヤノン、信越化学、OLC、ファナックなど注目決算が目白押し。これに加えて、ECB理事会と日銀金融政策決定会合が開催され、毎日が注目日といった状況となる。株式、長期金利、為替のいずれも振れ幅が大きくなるだろう。翌週(11/1~2)にはFOMCが控えているため、高くなればリスク回避の売りが上値を抑えるとみる。一方で、投資家側もボラティリティが高い状況を許容しつつ、その中で決算を吟味しながらの個別物色が活況になると見込まれる。売り一辺倒にもなりづらく、下値も堅いと予想する。
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