株式明日の戦略-大幅安も後場は下げ渋る、27000円台を維持できるか

 20日の日経平均は3日ぶり大幅反落。終値は250円安の27006円。米国株安やテスラの時間外の大幅安を嫌気して、寄り付きから200円を超える下落。開始直後は27000円近辺で一進一退が続いたが、節目より上が重く、次第に下方向に勢いがついた。下げ幅を300円超に広げて後場に入ると一段安となったが、13時すぎに大きく切り返す動きが見られ、27000円台を回復。中国当局が入国者のコロナ隔離期間を短縮するとの観測が流れたことが刺激材料となったもよう。戻しても27000円より上では売り直される流れが続いたが、下げ止まり感が出てきたことから終値では27000円を上回った。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆5400億円。業種別では空運、鉱業、銀行などが上昇した一方、精密機器、ガラス・土石、海運などが下落した。中国の水際対策緩和観測にインバウンド関連が刺激されており、J.フロント リテイリング<3086.T>や日本空港ビルデング<9706.T>などが後場に入って大幅上昇。反面、一部メディアで経営陣主導で入居率などの数字を不正に操作していたと報じられたレオパレス21<8848.T>が後場に入って急落し、ストップ安まで売り込まれた。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり497/値下がり1250。レーザーテックが3%を超える大幅上昇。ダブルスコープが商いを伴って買いを集めた。非上場化の観測が伝わった新生銀行が急伸。米長期金利の上昇を受けて、第一生命や東京海上など保険株が堅調に推移した。今期は最終赤字に転落見込みとなった日清製粉Gは、営業利益の上方修正の方が好感されて大幅上昇。上期の見通しを引き上げた日本光電工業が年初来高値を更新した。

 一方、東京エレクトロン、ファストリ、HOYAなど値がさ株の一角が軟調。川崎汽船、明治海運、東邦チタニウム、大阪チタニウムなど、市況関連が全般的に弱かった。下方修正を発表した市光工業が大幅安。出資先の海外企業の上場申請が取り下げとなったBEENOSが急落した。

 本日グロースに新規上場したビジネスコーチは、初値が公開価格の2倍となったが、寄った後の反応は弱く、ストップ安で終えた。

 日経平均はなんとか27000円を上回って終えたものの、200円を超える下落。後場に中国絡みのニュースが出てこなければ、引けまで下値模索が続きそうな雰囲気もあった。きのうかろうじて超えた200日線(27238円、20日時点、以下同じ)は大きく下回っており、もう一段下げてしまうと、この200日線が抵抗となりやすい。終値(27006円)の近辺には5日線(27057円)や25日線(26985円)が位置している。また、先週の週末値が27090円(10/14)で、きょうの時点では週間でマイナス。これらの点から、あす下振れスタートとなった場合には、売り圧力が強まる可能性がある。来週は国内企業の決算が出始めるため、そうなったとしても極端に地合いが悪化することはないだろう。ただ、全体の上値が重いと早売り傾向が強まりやすくもなるため、27000円より上は維持しておきたいところだ。
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