週間為替展望(ドル/ユーロ)-米大幅利上げ期待後退、ドルの重しに
◆ドル円、米CPIを受け急速に利上げ期待が後退、戻りは鈍いか
◆CPIの結果を受けたFOMCメンバーの発言に注目
◆ユーロドル、米金融引き締めに対する過度な警戒感後退で底堅く推移か
予想レンジ
ドル円 138.00-143.50円
ユーロドル 1.0000-1.0500ドル
11月14日週の展望
ドル円は、インフレ鈍化が確認されたことで米連邦公開市場委員会(FOMC)による大幅利上げ期待が急速に後退しており、戻りの鈍い動きが予想される。
10日に発表された10月米消費者物価指数(CPI)は総合が前年比で7.7%と6月の9.1%から4カ月連続で鈍化し、インフレピークの兆しを示す結果となった。また、食品とエネルギーを除くコアも前年比6.3%と前月の6.6%から大きく鈍化。次回12月FOMCでの利上げ予想幅は0.50%と0.75%で拮抗していたが、発表を受けて0.50%の利上げ予想が大勢となった。また、一部では来年の利上げが当初の2-3回から1回を予想する声も浮上している。
ただ、1点気を付けなければいけないのは次回12月FOMC結果公表の前日13日には11月米CPIの発表が予定されているということ。この結果次第では大幅利上げ期待が再燃する可能性も否定できない。とはいえ、裏を返せばそれまでは米利上げ期待を高める強い証拠が出づらいということであり、ドルの上値はしばらく重くなるとみている。
すでに、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁が今回のCPIについて「良いニュースだ。ただ、単月の結果ではインフレとの戦いに勝利したとは言えない」と慎重な姿勢を示しているが、来週はその他の米当局者、特に今年のFOMCメンバーの発言には十分注意する必要があるだろう。14日にブレイナード米連邦準備理事会(FRB)副議長、15日にウィリアムズNY連銀総裁とバーFRB副議長、16日にウォラーFRB理事、17日にブラード・セントルイス連銀総裁とボウマンFRB理事、そしてメスター・クリープランド連銀総裁、ジェファーソンFRB理事の講演が予定されている。
ユーロドルは、米金融引き締めへの過度な警戒感が和らいだことで引き続き底堅い動きを維持しそうだ。ロシア軍が9日にウクライナ南部へルソン州からの軍撤退を発表したことも目先の地政学リスクを後退させている。なお、来週は7-9月期ユーロ域内総生産(GDP)速報値の発表があり、景気減速懸念をさらに深めるような結果となるかどうかにも注目したい。
11月7日週の回顧
ドル円は、週明けの欧州序盤に一時147.57円まで値を上げたものの、その後は米中間選挙や米CPIなどの重要イベントを前に持ち高調整の売りが優勢に。米長期金利が低下したことも売りを促し、9日には一時145.18円まで売り込まれた。その後は米金利上昇に伴うショートカバーが優勢となり、一時146.80円まで反発したが、戻りは限定的。10日には10月米CPIが予想を下回ったことをきっかけに米金利の急低下とともに一気に140.21円まで急落した。
ユーロドルは、FRBが利上げペースを減速するとの観測が高まるなか、週明けから底堅い動きとなった。弱い米CPIが明らかになると買いが加速し、一時1.0222ドルと8月15日以来の高値まで買い上げられた。(了)
◆CPIの結果を受けたFOMCメンバーの発言に注目
◆ユーロドル、米金融引き締めに対する過度な警戒感後退で底堅く推移か
予想レンジ
ドル円 138.00-143.50円
ユーロドル 1.0000-1.0500ドル
11月14日週の展望
ドル円は、インフレ鈍化が確認されたことで米連邦公開市場委員会(FOMC)による大幅利上げ期待が急速に後退しており、戻りの鈍い動きが予想される。
10日に発表された10月米消費者物価指数(CPI)は総合が前年比で7.7%と6月の9.1%から4カ月連続で鈍化し、インフレピークの兆しを示す結果となった。また、食品とエネルギーを除くコアも前年比6.3%と前月の6.6%から大きく鈍化。次回12月FOMCでの利上げ予想幅は0.50%と0.75%で拮抗していたが、発表を受けて0.50%の利上げ予想が大勢となった。また、一部では来年の利上げが当初の2-3回から1回を予想する声も浮上している。
ただ、1点気を付けなければいけないのは次回12月FOMC結果公表の前日13日には11月米CPIの発表が予定されているということ。この結果次第では大幅利上げ期待が再燃する可能性も否定できない。とはいえ、裏を返せばそれまでは米利上げ期待を高める強い証拠が出づらいということであり、ドルの上値はしばらく重くなるとみている。
すでに、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁が今回のCPIについて「良いニュースだ。ただ、単月の結果ではインフレとの戦いに勝利したとは言えない」と慎重な姿勢を示しているが、来週はその他の米当局者、特に今年のFOMCメンバーの発言には十分注意する必要があるだろう。14日にブレイナード米連邦準備理事会(FRB)副議長、15日にウィリアムズNY連銀総裁とバーFRB副議長、16日にウォラーFRB理事、17日にブラード・セントルイス連銀総裁とボウマンFRB理事、そしてメスター・クリープランド連銀総裁、ジェファーソンFRB理事の講演が予定されている。
ユーロドルは、米金融引き締めへの過度な警戒感が和らいだことで引き続き底堅い動きを維持しそうだ。ロシア軍が9日にウクライナ南部へルソン州からの軍撤退を発表したことも目先の地政学リスクを後退させている。なお、来週は7-9月期ユーロ域内総生産(GDP)速報値の発表があり、景気減速懸念をさらに深めるような結果となるかどうかにも注目したい。
11月7日週の回顧
ドル円は、週明けの欧州序盤に一時147.57円まで値を上げたものの、その後は米中間選挙や米CPIなどの重要イベントを前に持ち高調整の売りが優勢に。米長期金利が低下したことも売りを促し、9日には一時145.18円まで売り込まれた。その後は米金利上昇に伴うショートカバーが優勢となり、一時146.80円まで反発したが、戻りは限定的。10日には10月米CPIが予想を下回ったことをきっかけに米金利の急低下とともに一気に140.21円まで急落した。
ユーロドルは、FRBが利上げペースを減速するとの観測が高まるなか、週明けから底堅い動きとなった。弱い米CPIが明らかになると買いが加速し、一時1.0222ドルと8月15日以来の高値まで買い上げられた。(了)