週間為替展望(ドル/ユーロ)-日米の金融政策決定会合に警戒

◆ドル円、FOMCと日銀金融政策決定会合に警戒
◆ドル売り・円買い介入の可能性にも注意
◆ユーロドル、ユーロ圏9月の製造業・サービス業PMI速報値に注目

予想レンジ
ドル円   141.00-146.00円
ユーロドル 0.9800-1.0100ドル 

9月19日週の展望
 ドル円は、20-21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅(0.75%又は1.00%)に続き、21-22日の日銀金融政策決定会合での政策変更の可能性や円買い介入の有無を見極める展開となりそうだ。

 日米金融政策の乖離や10年債利回りの拡大を背景に、1998年8月の高値147.66円に向けた上昇トレンドが継続しているが、これまで、145.00円に設定されているノックアウトオプションの防戦売りが続伸を阻んでいる。チャート上ではダブルトップ(144.99円・144.96円)を形成しつつあり、そのネックラインが141.51円。下サイドの動きが強まった場合は注意すべき水準だろう。

 本邦通貨当局が、円買い介入を含むあらゆる円安抑制措置の可能性を警告している。日本銀行は、介入の準備段階とされる「レートチェック」(日銀が銀行の為替ディーラーに相場水準や相場動向を尋ねる)を実施したと報じられており、1998年以来の円買い介入への警戒感が高まっている。リスクシナリオとしては、21-22日に開催される日銀金融政策決定会合で円安対応策が決定された場合だろう。イールドカーブコントロールの「年限の短期化」や、ゼロ%を中心に上下0.25%程度としている長期金利の「許容変動幅の拡大」などが想定される。また、円買い介入が同時に行使される可能性もある。

 一方、米国では20-21日に開催されるFOMCでFF金利が0.75%、または1.00%引き上げられる予想。ただ、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を公定歩合からFF金利に変更した1990年以降、1.00%の引き上げはない。ドットプロット(金利予測分布図)での中立金利水準や、ターミナルレート(利上げの最終到達点)にも注目。また、米8月の住宅着工許可件数や建設許可件数、中古住宅販売では、住宅ローン金利上昇を受けた住宅リセッションの可能性を見極めることになる。

 ユーロドルは、ガスプロムが欧州向け天然ガスパイプライン「ノルドストリーム1」の稼働を無期限停止していることで、ユーロ圏9月製造業・サービス業PMIへの悪影響に注目か。プーチン露大統領は「ロシア産の石油とガスに上限価格を設定する国には原油、天然ガスを供給しない」と述べ、「シベリアの力1と2」を通じた中国向けの天然ガス供給を増やすことを示唆した。また、欧州の電力会社が「ヘッジ取引に伴う追加証拠金を少なくとも1.5兆ユーロ差し入れる必要がある」として公的支援を要請していることにも注視しておきたい。

9月12日週の回顧
 ドル円は、米8月消費者物価指数が予想を上回る8.3%だったことで、FOMCでの1.00%の利上げ観測が浮上し、141.66円から144.96円まで上昇。しかし、7日同様に145.00円のオプションに絡む防戦売りが続伸を阻んだほか、「日銀によるレートチェックが行われた」と報じられたことで、142.55円まで反落した。ユーロドルは、米10年債利回りが3.47%台まで上昇したことで、1.0198ドルから0.9956ドルまで下落。ユーロ円は145.64円から142.30円まで下落した。(了)
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