欧州マーケットダイジェスト・16日 株安・金利低下・ユーロ伸び悩み

(16日終値:17日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=139.41円(16日15時時点比▲0.31円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=144.76円(▲0.18円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0384ドル(△0.0011ドル)
FTSE100種総合株価指数:7351.19(前営業日比▲18.25)
ドイツ株式指数(DAX):14234.03(▲144.48)
10年物英国債利回り:3.149%(▲0.146%)
10年物独国債利回り:1.996%(▲0.112%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>    <前回発表値>
10月英消費者物価指数(CPI)
前月比                2.0%       0.5%
前年比                11.1%      10.1%
CPIコア指数(前年比)         6.5%       6.5%
10月英小売物価指数(RPI)
前月比                2.5%       0.7%
前年比                14.2%      12.6%

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ユーロドルは伸び悩み。米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを減速するとの見方が強まる中、ユーロ買い・ドル売りが先行。19時30分前に一時1.0438ドルと日通し高値を付けた。
 ただ、前日の高値1.0479ドルがレジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。10月米小売売上高が予想を上回ったことも相場の重しとなり、1.0373ドル付近まで下押しした。
 ビスコ・イタリア中銀総裁はこの日、「過去数カ間にしてきたほど積極的ではない方法を取るべき理由が高まっている」と述べたほか、デコス・スペイン中銀総裁が「政策金利が到達すべき具体的な水準は不確実で、完全にデータに依存する」などと発言。欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーから大幅な引き締め継続に慎重な発言が相次いだこともユーロの上値を抑えた。

・ポンドドルも伸び悩んだ。10月英消費者物価指数(CPI)が前年比11.1%上昇と予想の10.7%上昇を上回り、41年ぶりの高水準を記録するとポンド買いが先行。19時30分前に一時1.1942ドルと本日高値を付けた。ただ、前日の高値1.2028ドルがレジスタンスとして働くと上げ幅を縮めた。

・ドル円は大きな方向感が出なかった。10月米小売売上高が予想を上回ったことで円売り・ドル買いが出ると一時140.03円付近まで上げたものの、上値は重かった。10月米鉱工業生産が予想を下回ったことで円買い・ドル売りが入ったほか、米長期金利の低下が相場の重しとなり139.05円付近まで下押しした。
 なお、ジョージ米カンザスティ連銀総裁は「利上げを継続する必要はあるが、ペースは緩めるべき」「景気後退を引き起こすことなくインフレを低下させることは困難」と述べたほか、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁は「現在、利上げの一時停止は検討されておらず、ペースは議論中」「政策金利を4.75-5.25%の範囲に引き上げることは妥当」などと語った。

・ユーロ円は22時30分過ぎに一時145.50円と日通し高値を付けたものの、3時過ぎには144.66円付近まで下押しした。「ECB理事会メンバーらは来月の理事会で0.50%の利上げを支持」との観測報道も相場の重し。

・ロンドン株式相場は小幅ながら続落。前日の米国株相場の上昇を受けて買いが先行したものの、ウクライナ情勢を巡る不透明感が相場の重しとなり小幅に値を下げた。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が売られたほか、リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株に売りが出た。

・フランクフルト株式相場は5日ぶりに反落。北大西洋条約機構(NATO)加盟国のポーランドにミサイルが着弾し死者が出たことで、ウクライナ情勢を巡る不透明感への警戒感が広がった。中国で新型コロナウイルスの感染が拡大していることも投資家心理の悪化につながった。個別ではメルセデス・ベンツ(6.20%安)やポルシェ(5.56%安)、ザランド(5.41%安)などの下げが目立った。

・欧州債券相場は上昇。ECBによる積極的な金融引き締め観測が後退し、独国債に買いが入った。

(中村)
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