ニューヨーク外国為替市場概況・15日 ユーロドル、3日ぶり反落

 15日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3営業日ぶりに反落。終値は1.0628ドルと前営業日NY終値(1.0682ドル)と比べて0.0054ドル程度のユーロ安水準だった。欧州中央銀行(ECB)はこの日の定例理事会で、政策金利を0.50%引き上げ、来年3月から量的金融緩和策として買い入れた国債など資産の規模縮小の開始を決めたと発表。声明では「一段の金利上昇を見込む」「金利は安定したペースで大幅に上昇する必要がある」と指摘した。この結果を受けて欧州債利回りが大幅に上昇すると、ユーロ買いが先行した。また、ラガルド総裁が理事会後の会見で「今後の利上げ幅についてはデータ次第」としながらも、「当面は0.50%の利上げが予想される」「来年2月と3月も0.50%の利上げの可能性がある」と発言するとユーロ買いが加速。前日の高値1.0695ドルを上抜けて一時1.0735ドルと6月9日以来約半年ぶりの高値を付けた。市場では「ECBは金融引き締めに積極的なタカ派姿勢を示した」と受け止められた。
 ただ、ECBの積極的な金融引き締めがユーロ圏景気の悪化につながるとの懸念から、ユーロ買いの勢いは長続きしなかった。欧州を代表する株価指数のひとつユーロ・ストックス50指数は3.5%超下落し、ダウ平均は一時950ドル超下げると、リスク・オフのドル買いが優勢となり、3時過ぎに一時1.0593ドルと日通し安値を更新した。

 ドル円は3日ぶりに大幅反発。終値は137.78円と前営業日NY終値(135.48円)と比べて2円30銭程度のドル高水準だった。前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、2023年末時点の政策金利見通しが引き上げられたことから、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの長期化が改めて意識されて円売り・ドル買いが出やすい地合いとなった。ECBが想定よりもタカ派的な姿勢を示したことで、欧米株価が急落すると為替市場ではリスク回避のドル買いが活発化し、3時過ぎには138.17円と11月30日以来約2週間ぶりの高値を更新した。
 なお、11月米小売売上高や12月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数など、この日発表の米経済指標が軒並み予想を下回ったことを受けて一時136.18円付近まで値を下げる場面もあったが、下押しは限定的だった。

 ユーロ円は続伸。終値は146.43円と前営業日NY終値(144.71円)と比べて1円72銭程度のユーロ高水準。タカ派姿勢を示したECBと、大規模な金融緩和策を維持する日銀との金融政策の方向性の違いが意識されて、円売り・ユーロ買いが出やすい状況だった。1時過ぎには一時146.73円と11月10日以来約1カ月ぶりの高値を更新した。

本日の参考レンジ
ドル円:135.24円 - 138.17円
ユーロドル:1.0593ドル - 1.0735ドル
ユーロ円:144.31円 - 146.73円

(中村)
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