週間為替展望(ドル/ユーロ)-日銀総裁会見と11月CPIに注目

◆ドル円、日銀金融政策決定会合や日米のインフレ指標に注目
◆米国の12月消費者信頼感指数、住宅関連指標にも注意
◆ユーロドル、12月Ifo景況感指数に注目

予想レンジ
ドル円   134.00-140.00円
ユーロドル 1.0450-1.0850ドル 

12月19日週の展望
 ドル円は、クリスマス休暇に向けた閑散取引の中、日銀金融政策決定会合や23日発表の11月の米国PCE総合価格指数と日本の消費者物価指数(CPI)に注目する展開となる。

 19-20日に開催される日銀金融政策決定会合では、現状の大規模金融緩和策の継続が予想されている。ただ、14日に「日銀は来年4月に発足する新体制下で金融政策の点検や検証を実施する可能性がある」と一部で報じられたこともあり、黒田日銀総裁の定例記者会見での発言に注目が集まりそうだ。

 また、23日に発表される日本の11月CPIは、前年比3.9%と予想されており、10月の3.7%からの上昇が見込まれているが、一部では4.0%台乗せになった場合の「日本版CPIショック」の可能性を指摘する声も出ている。実は、先行指標となる東京都の総合消費者物価指数が3.8%。そして、消費者の実感に一番近いとされている、帰属家賃を除く総合指数が4.7%となり、10月の4.3%から大幅に上昇した。全国の総合CPIが4%台、帰属家賃を除く数字が5%付近まで上昇した場合は動意付く可能性が高いだろう。

 米国では、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している米11月のPCEコアデフレーターが発表される予定だ。予想は前年比4.6%。10月の5.0%からの伸び率鈍化が継続することが見込まれている。予想通りに鈍化していた場合、来年2月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での第8次利上げ幅に影響することにもなり注目している。また、米国12月の消費者信頼感指数や、11月の住宅着工許可件数、住宅建設許可件数、中古住宅販売などの住宅関連指標にも注意している。

 ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)理事会で、政策金利が0.50%引き上げられ、来年3月からの量的金融引締め開始が表明された。また、ラガルドECB総裁が追加利上げを示唆。底堅い展開が予想される。ただ、ユーロ圏は物価上昇と景気減速によるスタグフレーション、そしてリセッションに陥りつつあるとの警戒感もあるため、ユーロの上値は限定的となりそう。また、ロシアによるウクライナでの戦術核使用の可能性やロシア産原油への上限価格設定に対する報復措置などにも引き続き警戒しておきたい。経済指標では、12月のドイツIfo景況感指数に要注目。

12月12日週の回顧
 ドル円は、「日銀の新体制下で金融政策の点検や検証を実施」との報道で、134.54円まで下落したが、FOMCで0.50%の利上げが決定されたほか、「経済・金利見通し」で、2023年末のFF金利予想中央値が9月の4.6%から5.10%にまで引き上げられたことなどから138.17円まで買い戻された。パウエルFRB議長は会見で、「インフレ退治のための利上げ継続の必要性」を強調している。

 ユーロドルは、ECB理事会での0.50%の利上げ決定と追加利上げ示唆を受けて、一時1.0735ドルまで上昇した。ユーロ円は143.50円から146.73円まで上昇した。(了)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。