週間為替展望(ドル/ユーロ)-日米金融政策の内容に注目

◆ドル円、日銀金融政策決定会合の主な意見やFOMC議事要旨に注目
◆米国12月の雇用統計、ISM製造業・非製造業景気指数に注意
◆ユーロドル、インフレの伸び率鈍化を見極める

予想レンジ
ドル円 129.00-134.00円
ユーロドル 1.0400-1.0800ドル

12月26日・1月2日週の展望
 ドル円は、28日に公表される19-20日の日銀金融政策決定会合での主な意見や来年1月4日に公表される13-14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨に注目する展開となる。

 日銀金融政策決定会合では、長期と短期の金利を操作するイールドカーブコントロール(YCC)において、長期金利の変動幅を目標値(ゼロ金利)の「±0.25%程度」から「±0.5%程度」に変更した。日本の長期金利は長らく上限の0.25%に張り付いていたが、0.50%までの上ブレを容認したことで、実質的な利上げと見なされている。しかし、黒田日銀総裁は会見で、長期金利の上限引き上げについて「利上げではない」と説明している。主な意見では、指し値オペやYCCの撤廃の可能性を見極めることになりそうだ。

 また、FOMC議事要旨では、インフレ率が鈍化傾向にある中で、2023年末のターミナルレート(利上げの最終到達点)中央値が5.10%(FF金利誘導目標では5.00-25%)と示されたことの背景を見極めることになる。2023年のFOMCは、インフレ退治を優先し金利の大幅上昇を支持していたタカ派のブラード米セントルイス連銀総裁、メスター米クリーブランド連銀総裁、ジョージ米カンザスシティ連銀総裁が投票権を失う一方、ハト派とみられるグールズビー米シカゴ連銀総裁、中立派のハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、ローガン米ダラス連銀総裁が投票権を得る予定。議事要旨では、2023年に利下げを予想していないハト派とタカ派の見解を見極めたいところだ。

 更には、年明けに公表される12月の雇用統計は、失業率は3.7%で11月と変わらず、非農業部門雇用者数は前月比20.8万人と11月の26.3万人から減少。平均時給は前年比5.0%と11月の5.1%からの伸び率鈍化が見込まれている。ISM製造業・非製造業景気指数では、物価指数などで米国の物価情勢を確認したい。

 ユーロドルは、来年1月6日に発表されるユーロ圏12月の消費者物価指数の伸び率鈍化(前年比9.6%)が見込まれており、上値が重い展開が予想される。ユーロの上値を抑える要因としては、ユーロ圏が物価上昇と景気減速によるスタグフレーション、リセッション(景気後退)に陥りつつあるとの警戒感が強いほか、引き続き、ウクライナでの戦闘激化懸念やロシア産原油への上限価格設定に対する報復措置などが挙げられる。ただ、ラガルドECB総裁が来年2回の会合で0.50%の追加利上げを示唆したこともあり、下値は限定的となりそうだ。

12月19日週の回顧
 ドル円は、日銀金融政策決定会合での実質的な利上げ決定を受けて、137.48円から130.58円まで急落した。日銀は、10年国債金利の許容変動幅を従来の目標値(ゼロ金利)の上下0.25%程度から0.50%程度に拡大した。ユーロドルは、独10月Ifo景況感指数が予想を上回ったほか、デギンドスECB副総裁のタカ派発言などを受けて、1.0659ドルまで上昇した。ユーロ円は、日銀の実質的な利上げ決定を受けて、145.83円から138.81円まで下落した。(了)
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