株式明日の戦略-週間では800円を超える上昇、来週は注目材料が目白押し

 27日の日経平均は小幅反発。終値は19円高の27382円。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり916/値下がり822。上方修正、増配、自己株取得、1:5の株式分割を発表した信越化学が4.1%高。強い東京都区部CPIを受けて国内長期金利の先高観が台頭したことから、三菱UFJや三井住友など銀行株に資金が向かった。安川電機や日本電産など既に3Q決算を発表済みの銘柄が大幅上昇。前期の見通しを更新したローランドが急伸し、中期経営計画を公表したミナトHDがストップ高となった。

 一方、証券会社が投資判断を引き下げた日本郵船と商船三井が大幅安となり、川崎汽船も連れ安した。東邦チタニウムが3Q決算を受けて10.2%安となり、同業の大阪チタニウムが6.7%安。3Qが大幅増益となり増配も発表した野村不動産HDが売られたことで、三井不動産や三菱地所など不動産株が軒並み安となるなど、ある銘柄の下落が別の銘柄の売りを誘うといった動きが多く観測された。キッズスマイル、JPHD、さくらさく、テノHDなど、直近で賑わった育児関連の多くが利益確定売りに押された。

 上場2日目で高い初値をつけたテクノロジーズは、寄った後は乱高下したものの、終値は初値をわずかに下回る程度にとどまった。

 本日、好材料満載で市場の注目を集めたのが信越化学<4063.T>。4.1%高と前日比では大幅高となった。ただ、ギャップアップスタートとなった後の買いは続かず、ローソク足では陰線を形成している。中小型株などでは簡単にストップ高となる銘柄もあるだけに、4%台の上昇率もこの程度かという感じもある。決算発表期間中は上にも下にも値幅が出やすくなるが、良いニュースが出てきた銘柄がそれほど上がらないのは気がかりだ。今回の信越化学は百点満点とも言えるリリースであった。今は次から次へと決算が出てくることから、一つ一つの反応が甘くても全体では堅調な地合いを維持できるだろう。ただし、決算発表が終盤に近付いてくると相場の雰囲気は変わりやすい。この先、良いニュースが出てきた主力銘柄がしっかり買われるかどうかは注視しておく必要がある。


【来週の見通し】
 堅調か。日米で決算発表が本格化する中でFOMCを消化するスケジュールで、欧州の中銀イベントも予定されている。週末の2月3日には米国で雇用統計が発表される。月替わりで需給要因から株価が動く可能性もあり、慌ただしい1週間となる。注目はFOMC(1/31~2/1)となるが、今回は利上げ幅が前回の0.5%から0.25%に引き下げられるとの見方が強まっている。0.5%の場合、失望売りは避けられないだろうが、ネガティブサプライズがなければFOMCは米国株を上に押し上げるイベントとなる可能性が高い。アップル、アマゾン、アルファベットなど米国の主力グロース株の決算も出てくるが、これらの結果次第では、リスクオンの流れに弾みがつく展開も期待できる。国内も決算を材料に個別の物色が活況になると見込まれる。好悪材料が入り交じると思われるが、押し目があれば上昇に乗り遅れた投資家からの買いが入りやすく、強い基調が続くと予想する。


【今週を振り返る】
 堅調となった。米国では金融引き締めに対する過度な警戒が後退したことで、主力グロース株に強い動きが見られた。これを好感して、日経平均は23日、24日と連日で300円を超える上昇。国内では主力企業の3Q決算が出始める中、先高期待が高まった。しかし、節目の27000円を大きく上回った後、27500円台に乗せたところで上昇は一服。週後半は急ピッチの上昇に対する警戒から上値が重くなった。前半の貯金が大きかったことに加えて、後半に伸び悩む場面でも下値は堅かったことから、週間では大幅高となった。日経平均は週間では約829円の上昇となり、週足では2週連続で陽線を形成した。
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