株式明日の戦略-高値引けで26500円台を回復、良い流れで決算発表シーズンに突入

 20日の日経平均は反発。終値は148円高の26553円。米国株安を受けて60円程度下げて始まったものの、寄り付き直後を安値に下げ幅を縮小。前場のうちにプラス圏に浮上した。前場では上げ幅を広げたところでは戻り売りに押されたが、後場に入って節目の26500円を上回ると、そこからは上方向に勢いがついた。上げ幅を3桁に広げると値上がりに転じる銘柄や業種も増加。終盤にかけても買いが入り、高値引けとなった。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆2900億円。業種別では空運、鉄鋼、鉱業などが大幅上昇。下落は証券・商品先物、その他製品、その他金融の3業種のみとなった。岸田政権が新型コロナウイルスの分類を季節性インフルエンザ並みの「5類」へ引き下げるとのニュースが伝わったことから経済活動再開銘柄が買われており、JAL<9201.T>やANA<9202.T>など空運株が大幅上昇。反面、マスク需要が減退するとの見方から川本産業<3604.T>が象徴的に売りに押された。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり1320/値下がり429。資源大手BHPグループのリリースから鋼材需要回復期待が高まり、日本製鉄など鉄鋼株が軒並み大幅高。三井松島や住石HDなど石炭関連や、三菱マテリアルや東邦亜鉛など非鉄の一角にも強い買いが入った。証券会社のリポートを材料に大成建設や清水建設など大手ゼネコンが大幅高。新規のカバレッジが入ったジャパンエレベーターサービスが急伸した。日経新聞で業績上振れ観測が報じられたエムケー精工が15%高と値を飛ばし、昨年来高値を更新した。

 一方、レーザーテックや東京エレクトロンなど半導体株が軟調。日本電産、キーエンス、ダイフクなど、ハイテク・FA関連などはさえない動きのものが多かった。日経平均の動きは良かったが、野村HDや大和証Gなど大手証券株は、これを好感できずに下落。海外での売出価格が決定したANYCOLORが大幅安となった。SERIOやテノHDなど、今週育児関連として人気化した銘柄の一角が大きく値を崩した。

 日経平均は下落して始まったものの、寄り付き直後に安値をつけて高値引けと、場中の動きが非常に良かった。テクニカル面でも5日線(26342円、20日時点、以下同じ)近辺で下げ止まり、きっちり25日線(26498円)を上回って終えている。レーザーテックや東京エレクトロンなど主力のハイテク株が弱かった中、他の多くのセクターが奮起したという点が頼もしい。長く物色の蚊帳の外にあった建設株などにも目を見張る動きが見られた。ハイテク株に関しても、来週出てくる日本電産や信越化学などの決算が安心感のあるものとなれば見直し余地が出てくる。一足先に3Q決算を発表した2月決算銘柄の安川電機<6506.T>は、上方修正や株主還元強化がなくても決算発表翌日(1/11)に急伸し、そこからさらに買われている。今回の3Q決算発表では、多くの銘柄に安川電機をなぞるような動きが見られるかもしれない。


【来週の見通し】
 堅調か。日米で決算発表が本格化する。日本では日本電産や信越化学など、米国ではマイクロソフト、テスラ、ボーイングなどの決算が出てくる。日米とも決算に関しては期待と不安が半々といった状況で、指数が個別の決算の影響を大きく受ける展開も想定される。ただ、良い内容、悪い内容のどちらも個社要因として受け止められる可能性が高く、指数のボラティリティの高まりはある程度許容されるだろう。日本株に関しては、足元の水準に過熱感がないこと、日銀会合を無難に消化したことなどから、好材料に対する反応が強めになると予想する。決算以外では、米国では10-12月期GDP速報値や12月耐久財受注などの経済指標が注目される。国内では昨年12月の日銀会合の議事要旨および、1月会合の主な意見が公表される。なお、中国が旧正月に入り、一週間休場となる。ゼロコロナ政策の見直しにより、この間に中国の消費活動が活発になると見込まれる点は、グローバル株式市場にもプラスの影響を及ぼすと予想する。
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。