株式明日の戦略-日銀会合を通過して大幅高、日本株の地合いも大きく改善へ

 18日の日経平均は大幅続伸。終値は652円高の26791円。休場明けの米国株はまちまちも、ナスダックの上昇や為替の落ち着きを手がかりに寄り付きから3桁の上昇。前場では日銀会合の結果発表を前に動意は限られたものの、26300円近辺でしっかりとした動きが続いた。昼休みに入って早々に、日銀が金融緩和の維持を発表。警戒されていた政策の修正などはなかった。これを受けて先物が上に跳ね、為替市場では円安が急速に進行。後場は大きく水準を切り上げ、26600円台からのスタートとなった。そこからいったん値を消したが、幅広い銘柄に買いが入る中、改めて買いの勢いが強まり上げ幅を600円超に拡大。26800円台に乗せる場面もあり、高値圏で取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆2700億円。値幅が出たことで商いも膨らんだ。業種別では精密機器、医薬品、輸送用機器などが強い上昇。銀行のみが下落し、保険や小売の上昇が限定的となった。円安進行を受けて、スズキ<7269.T>やSUBARU<7270.T>など自動車株が後場急伸。半面、金利上昇期待が後退したことから、三菱UFJ<8306.T>が売りに押された。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1600/値下がり188。指数寄与度の大きいファーストリテイリングとソフトバンクGが2%を超える上昇。ソニーG、任天堂、アドバンテストなど主力ど真ん中銘柄に買いが入った。長期金利上昇への警戒が和らいだことから、東急不動産や東京建物など不動産株が軒並み高。株主還元強化を発表したタマホームが急伸し、クリアルとの業務提携を発表したストレージ王や、新工場の建設を発表した阿波製紙がストップ高となった。

 一方、銀行以外でも金融株が全般弱く、第一生命やT&Dが下落。セブン&アイ、ワークマン、西松屋のほか、外食のくら寿司や串カツ田中など、小売株は株高の流れに乗り切れないものが多かった。前日決算を材料に急落したテラスカイは売りが止まらず連日の大幅安。前期の着地が計画を下振れたAHCグループが急落した。

 日経平均は大幅高。前回の金融政策修正が相場の混乱を招いたが、日銀は今回、泰然自若のスタンスで金融緩和の維持を決定した。市場では長期金利の許容変動幅がもう一段拡大するのではといった見方もあったが、それをやってしまうと完全に日銀が市場からの攻撃に白旗を上げたと見なされる懸念があった。投機的な日本国債売りにはいったん歯止めがかかる可能性があり、日本株が他市場と比べて割り負ける状態が解消に向かう展開が期待できる。

 金融緩和の維持は問題の先送りにつながりかねない点は意識しておく必要がある。三菱UFJ<8306.T>は一時5%超下落したものの、引けでは0.8%安と大きく値を戻している。この先も折に触れて国内の長期金利が株式市場を刺激してくるだろう。それでも、今回の日銀会合が強い買い材料となったことで、日本株には大きな変化が出てくる可能性がある。

 来週になると3月決算銘柄の3Q決算が出始める。日本株全体としては過熱感がなく、それでいて底割れ懸念が後退しているので、決算反応がポジティブ寄りになることが期待できる。次回の日銀会合は3月9日~10日に開催される。決算が出そろう2月の中旬あたりまでは日銀リスクを強く警戒することなく、個別物色が活況になると見込まれる。なお、FOMCが1月31日~2月1日に開催されるが、米国では利上げ幅が縮小されるのではないかとの見方も出てきている状況。日本は決算発表の集中期でもあり、よほどタカ派的な内容とならない限りは、日本株を強く売る材料にはならないと思われる。昨年12月20日から約1カ月間は日銀のせいで日本株の買いづらさが強く意識されたが、ここから1カ月くらいは日銀のおかげで日本株を買いやすい地合いになると予想する。
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