株式明日の戦略-続伸も後場に萎んで安値引け、あすは日銀の「主な意見」に要注目

 27日の日経平均は続伸。終値は42円高の26447円。海外の多くが休場で材料難の中でも、寄り付きから3桁の上昇。開始直後には26600円台に乗せて上げ幅を200円超に広げた。中国政府が入国時の強制隔離を撤廃すると発表したことが好感されたとみられ、百貨店株や旅行株などインバウンド関連に強い買いが入った。指数は買い一巡後は値を消したが、前場では26500円を割り込んだところでは盛り返した。昼休みに入ると、日本政府が中国からの入国規制を強化するとの観測が伝わった。これを受けた後場は、開始早々に26500円を下回ると、蓋がされたかのように上値が重くなった。終盤にかけては緩やかに上げ幅を縮める流れとなり、プラスは維持したものの安値引けとなった。

 東証プライムの売買代金は概算で1兆9900億円。業種別では小売、銀行、空運などが上昇した一方、輸送用機器、電気機器、機械などが下落した。米イーライリリーと新規の共同研究契約を締結したと発表したペプチドリーム<4587.T>が急騰。半面、今期の2桁減益計画が嫌気された象印マホービン<7965.T>が大幅に下落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1293/値下がり471。上方修正を発表した高島屋が7%を超える上昇。三越伊勢丹、H2Oリテイリング、Jフロントなど百貨店株が軒並み大幅高となった。パンパシHDやマツキヨココカラなど小売株が全般強く、値上げを発表した良品計画や、3Q決算が好感されたあさひが急伸。OLC、サンリオなどレジャー株のほか、資生堂、ファンケル、コーセーなど化粧品株にも強い動きがみられた。ほか、材料のあったところでは、配当見通しを引き上げたPCAや、株主優待導入を発表した瑞光など、株主還元強化に関するリリースがあった銘柄が騰勢を強めた。

 一方、トヨタ、ホンダ、日産自など自動車株が軒並み下落。ハイテク関連が総じて弱く、東京エレクトロン、アドバンテスト、信越化学といった半導体株のほか、ローム、京セラなどが軟調となった。12月度の月次が失望を誘ったパレモHDが大幅安。1Q決算を訂正したシルバーライフが19%安と急落した。

 本日はグロースに2社が新規上場。ELEMENTSは、高い初値をつけた後も買いが続き、ストップ高で終えた。BTMは公開価格を大きく上回る初値をつけたが、終値は初値を大きく下回った。

 日経平均は続伸。高く始まった後は伸び悩んだが、下げに転じることはなく、プライムの値上がり銘柄も多かった。安値引けは印象が悪いが、下げなかったという事実には意味がある。終値(26447円)では5日線(26396円、27日時点)を上回った。本日序盤に強かったのは、中国の材料に加えて、米株先物の動きが良かったことも背景にあったと推測される。休場明けの米国株が上昇するのであれば、あすの日本株がこれを好感できるかはともかく、売りを抑制する材料にはなる。

 あす、国内では先週波乱を招いた12月日銀会合の「主な意見」が公表(寄り前8時50分に発表予定)される。普段はそれほど注目されるものではないが、金融政策の修正は大きなサプライズとなったことから、今回は相場を動かす材料となるかもしれない。その際、日銀会合後に嫌われた銘柄群が一段と売られるようだと厳しい。不動産株、自動車株、ハイテク株の動向には注意を払っておく必要がある。ただし、「主な意見」が日本株の売り材料とならなかった場合には、これらの中のどれか、もしくは幾つかが鋭角的に切り返す展開にも期待が持てる。そうなれば、全体でも押し目を拾う動きが活発になるだろう。大納会まで日銀に振り回される状況が続くのか、いったんアク抜け感が出てくるのか、要注目の1日だ。
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