株式明日の戦略-米国株の上昇は好感できず5日続落、まだ下げ止まり感はない

 21日の日経平均は5日続落。終値は180円安の26387円。米国株高を受けても小安く始まり、しばらく下を試す流れが続いた。下げ幅を300円近くに広げたところでいったん多くの銘柄に押し目買いが入り、急速に値を戻した。しかし、プラス圏に浮上したところでは売り直された。後場に入ると再び下げ幅を3桁に拡大。乱高下した前場に比べると値動きは落ち着いたが、後場の安値圏で終えており、終日警戒ムードが強かった。

 前日同様、銀行株に買いが入った一方、不動産株や自動車株が売りに押された。前日に終値ベースでの年初来安値を更新した東証REIT指数は、きょうは1.9%高と強い動きを見せた。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆7100億円。業種別では銀行、海運、空運などが上昇した一方、輸送用機器、不動産、電気機器などが下落した。リコー<7752.T>との資本提携を発表したサイボウズ<4776.T>が大幅上昇。反面、前期が大幅な最終赤字となったCAICA DIGITAL<2315.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり400/値下がり1387。場中に上値は抑えられたものの、三菱UFJ、三井住友、みずほFGのメガバンク3行がそろって年初来高値を更新。海運株に買いが入っており、川崎汽船が3%高となった。円高が進行する中、これをメリットにできる銘柄探しが活発となっており、ニトリHD、セリア、神戸物産など内需の一角が大幅上昇。ツルハHDが上期決算を材料に大幅高となった。

 一方、弱さが目立った自動車株では、トヨタ、ホンダ、日産自動車などが年初来安値を更新。TDK、太陽誘電、日本電産などハイテク株も多くが円高を嫌気して大きく売られた。三井不動産、野村不動産、東京建物、オープンハウスGなど不動産・住宅関連の主力どころが大幅安。グロース株でもproperty technologiesやGA technologiesなど不動産周辺ビジネスに関わる銘柄は下げがきつかった。Birdmanは売り一巡後は値を戻したものの、ライブイベントの開催中止発表を受けてストップ安まで売られる場面があった。

 本日は3社の新規上場と持ち越し1社で4社の初値がついた。いずれも初値は公開価格を大きく上回ったが、終値が初値を上回ったのはサンクゼールのみ。noteは一時ストップ安となり、アイズはストップ安で終えた。INFORICHは初値で5桁の大台に乗せたが、終値は初値を大きく下回った。

 日経平均は5日続落。米国株の5日ぶりの反発を好感することができなかった。買われた業種、売られた業種が前日と似ているが、買われた方の銀行株は短期的な過熱感が意識されて長い上ヒゲをつけたものが多い。一方、売られた方ではトヨタやホンダなど日本を代表する銘柄が年初来安値を更新しており、センチメントは悪化傾向にある。きのうの日銀の政策修正(長期金利の許容変動幅拡大)は、出てきた時期がサプライズであっただけで、来年にはそういった話が出てくることを予想していた証券会社も多い。そもそも今は銀行株が強いと他が買いづらくなるような状況。銀行株とは異なるタイプの銘柄に買いが入らないと、全体では底打ち感が出てこない。

 きょうは円高メリット銘柄が物色されたが、これらは為替が円安に振れてしまうと一転売られる対象になる。日銀も国内金利の上昇が止まらない場合には手を打つであろうから、円高進行は期間限定となる可能性もある。売り込まれている自動車株や不動産株の強い反転を期待したいところだが、それがなく、新たなけん引役も出てこない場合には、日経平均は10月3日の25621円辺りまで下を試す流れが続くことになるだろう。
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