株式明日の戦略-大幅高で週間でもプラス、来週は米欧の中銀イベントに要注目

 9日の日経平均は3日ぶり大幅反発。終値は326円高の27901円。米国株高を受けて上昇スタート。SQ売買の影響で寄り付きは60円程度の上昇にとどまったが、すぐに強い買いが入って、一気に上げ幅を300円超に広げた。米テクノロジー株の上昇を好感して、大型ハイテク株が上昇をけん引した。27900円台に乗せたところでは買い一巡感が出てきたが、上昇ペースが鈍っても崩れることはなく、高値圏で値動きが落ち着いた。後場は値幅が50円程度とこう着感が強まったものの、終値でも27900円台をキープし、300円を超える上昇となった。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆9300億円。業種別では電気・ガス、精密機器、電気機器などが上昇した一方、鉱業、空運、石油・石炭などが下落した。三菱電機<6503.T>が大幅上昇。日本・イギリス・イタリアの3カ国が次期戦闘機で共同開発を行うことが伝わったが、これを報じるニュースをもとに、関連銘柄と見なされ買いを集めた。反面、1Qが減収減益となったアイモバイル<6535.T>が大幅安となった。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり1387/値下がり372。レーザーテック、アドバンテストが5%超上昇するなど半導体株が軒並み高。電子部品も強く、TDK、太陽誘電が3%超上昇した。経産省の審議会から原発政策見直し期待が高まり、東電HDや関西電が大幅高。これと併せて証券会社のポジティブなリポートもあった東北電が買いを集めた。上方修正と増配を発表したRSテクノロジーズが大幅高。1Qが大幅増益となったシルバーライフは、後場に決算を発表した後、ストップ高まで買い進まれた。

 一方、リスク選好ムードの強い地合いの中、第一三共やエーザイなど薬品株は物色の蚊帳の外に置かれた。原油価格が調整色を強めており、INPEX、石油資源開発、出光興産などが軟調。積水ハウスは3Q決算が好感されず3%安、リゾートホテル事業の売却を発表した大和ハウスも下落と、材料のあった住宅大手2社がさえない動きとなった。ファイナンスが嫌気された日本動物高度医療センターが大幅安。トミタ電機は決算が失望となって14%安と急落した。

 日経平均の週の安値は8日につけた27415円。7日までは75日線(27571円、9日時点、以下同じ)がしっかりサポートとして機能しており、8日に一時これを割り込んだものの、52週線(27381円)、13週線(27398円)、26週線(27452円)など週足の節目が下に控えていたことから、大きくは崩れなかった。そして下げ渋ったからこそ、きょうは強い上昇となり、週間でもプラスを達成した。来週は各種イベントに振り回されることになるだけに、上述の週足の節目がよりいっそう注目される。来週末の時点でこれらを上回っていれば、12月の残り2週間は大きな波乱はないであろうし、年末に向けて上を試すような動きも期待できる。一方、下回った場合には、年末株高期待は大きく後退することから、月後半はリスク回避の売りに押されやすくなるとみておいた方が良い。


【来週の見通し】
 波乱含みか。13日から14日にかけてFOMCが開催され、開催中の13日に米11月消費者物価指数(CPI)が発表される。FOMCを通過した後には15日にECB理事会が控えている。これらに対する市場の反応は読みづらく、一気に楽観に傾く、一気に悲観に傾く、どちらもあり得るだけでなく、FOMCとECB理事会に対する反応が真逆となる展開も想定される。これらのイベントが終われば2022年は店じまいの感も出てくるため、それぞれで大きな動きが出てきた場合でも、その反応が一時的にとどまる可能性もある。日経平均は火曜までは様子見で、水曜以降は振れ幅が大きくなると思われる。なお、国内ではIPOラッシュがスタートする。これら海外のイベントとは距離を置いて、短期トレードは活況を呈することになるだろう。
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