株式明日の戦略-戻りに水を差したグロース株安、米国株が下げ止まるかが重要に

 7日の日経平均は3日ぶり反落。終値は199円安の27686円。米国株の大幅安を受けて、寄り付きから200円を超える下落。安寄り後の下値は限られ、売り一巡後は下げ幅を縮めた。TOPIXは早々にプラス圏に浮上。値上がり銘柄も多く、前場は3桁下落ながら高値圏で終えた。しかし、寄与度の大きい東京エレクトロンやファーストリテイリングが弱かった上に、これらが後場に入って一段と売り込まれたことから、指数も後場はさえない展開。引けにかけて売り直されて、場中に戻した分の大半を消失して終えた。TOPIXも引け間際に崩れてプラス圏を維持できなかった。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆6300億円。業種別では空運、銀行、電気・ガスなどが上昇している一方、鉱業、電気機器、機械などが下落した。子会社がオリックス銀行と業務委託契約を締結すると発表したアイ・パートナーズフィナンシャル<7345.T>がストップ高。半面、東京エレクトロン<8035.T>が3.8%安、ファーストリテイリング<9983.T>が1.9%安と強めに売られており、日経平均の押し下げ役となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1049/値下がり686。証券会社が目標株価を引き上げた三井住友が強く、米金利の低下を受けてもみずほFGや三菱UFJなど銀行株に買いが入った。三越伊勢丹、高島屋、JAL、西武HD、富士急行などインバウンド関連が大幅高。非鉄の一角が物色されており、東邦チタニウム、大阪チタニウムのチタン2社が買いを集めた。ダブルスコープがリリースを材料に商いを伴って7%近い上昇。リージャス事業の売却が好感されたTKPが急伸した。

 一方、ナスダック安を受けてグロース株が全般弱く、レーザーテックやメルカリが大幅安。TDKや太陽誘電など電子部品関連も下げが大きかった。原油安を嫌気してINPEX、石油資源開発、ENEOSなどが軟調。川崎汽船など海運大手がそろって下落した。不二電機工業は3Qが大幅な増益となったものの、通期見通し据え置きが失望を誘って大幅安。立会外分売を発表した東京一番フーズが急落した。

 日経平均は3日ぶり反落。値上がり銘柄は多かった一方、東京エレクトロンとファーストリテイリングがまるで指数の戻りを阻むかのように売り込まれており、買いづらさも意識された。安値(27646円)でも75日線(27603円、7日時点、以下同じ)は割り込まなかったが、戻し切れなかったことから綱渡りの状態は続く。米国株が反転しないと上が期待しづらい局面だが、米国では金曜9日に11月生産者物価指数(PPI)や12月ミシガン大学消費者信頼感指数などの発表があるため、きょうどう動くがが重要。きょう弱いとあす8日は指標発表を前にリスク回避の売りが入りやすく、金曜9日の日本株市場にもネガティブな影響が及ぶ可能性がある。日経平均は来週のFOMC(12/13~14)を通過するまでは方向感は定まらないだろうが、それだけにテクニカル面でのよりどころを失うと、一気に脆くなる展開も想定される。75日線を明確に下回った場合には、26週線(27444円)の近くに週足の節目が多いことから、27500円近辺までで下げ止まるかが焦点となる。
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