株式明日の戦略-28000円近辺で強弱感が交錯、米PPIはグロース株買いの材料となるか

 15日の日経平均は小幅反発。終値は26円高の27990円。米国株安を受けて下げて始まったものの、下値は限定的。ただ、上値も重く、寄った後は前日終値近辺で方向感に欠ける動きが続いた。前場ではマイナス圏で推移する時間が多かった一方、後場は一度もマイナス圏に沈むことはなかった。ただ、地合いが改善しても楽観ムードはさほど高まらず、終値で28000円を上回ることはできなかった。TOPIXも小幅高ではあったが、こちらは終日プラス圏で推移した。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆1700億円。業種別では非鉄金属、鉄鋼、銀行などが上昇した一方、サービス、鉱業、食料品などが下落した。今期の増収増益計画が好感されたオープンハウスグループ<3288.T>が値を飛ばしており、今年1月の水準を上回って年初来高値を更新。半面、通期の利益見通しを引き下げたTOYO TIRE<5105.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1091/値下がり678。アドバンテスト、SUMCO、SCREENなど半導体関連が強く、レーザーテックは5.7%高。メガバンクの三井住友と三菱UFJが、決算や株主還元強化を材料に買いを集めた。米国でヘルスケア株が強かった流れを受けて、エーザイ、アステラス、塩野義など薬品株が強い上昇。メドピア、スノーピーク、フォスター電機などが決算を手がかりに急伸した。

 一方、決算が失望を誘ったリクルートHDが6.7%安。人材関連のビジョナルにも連想売りが広がった。営業利益見通しを引き下げたSMCが4%安。子会社における不適切行為の調査結果を公表した日本製鋼所が5%安と、材料のあった機械株の一角が強く売られた。ヤクルト、森永乳業、カルビーなど食品株が全般軟調。下方修正と期末配当見通しの引き下げを発表したアウトソーシングが、ストップ安比例配分と強烈に売り込まれた。

 本日はベースフードとPOPERがグロースに新規上場。ベースフードは公開価格割れスタートとなった後に強く買われる場面はあったが、終盤に急失速して終値は初値を下回った。POPERは高い初値をつけたものの、終値は初値を大きく下回った。

 日経平均は反発。引け間際まで28000円を上回っていたが、終値(27990円)では28000円を下回った。きのうも取引終盤の下げで安値引けとなって28000円を割り込んでおり、気になる動きではある。本日、米国では10月の生産者物価指数(PPI)が発表される。消費者物価指数(CPI)や雇用統計ほどではないが、物価指標として注目度は高いだけに、今晩の米国マーケットを大きく刺激する可能性がある。同指標が米国の長期金利低下を促す材料となった場合には、グロース株買いに弾みがつく可能性が高い。一方、金利上昇要因となった場合には、楽観ムードが急速に冷え込む展開も想定される。東京市場では、きょうも半導体株に強い動きが見られたり、マザーズ指数が3日続伸するなど、グロース株に流れが来ている。それだけに、この勢いを止めることなく全体でもう一段上を試しに行きたい局面だ。
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