株式明日の戦略―日米ともグロース買いの持続力が試される

 1日の日経平均は5日ぶり大幅反発。終値は257円高の28226円。前日の米国株の急上昇の流れを引き継ぎ、大幅高でスタート。取引開始後に上げ幅は400円を超え、28400円台に乗せた。一方、買い一巡後は伸び悩んだ。急ピッチの上昇に対する利益確定売りやドル円相場の円高進行が重荷となり、前場は312円高で取引を終えた。後場に入ると前場終値を挟んだ動きが続いたものの、終盤にかけて売りに押され、上げ幅を縮めた。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆1400億円。業種別では電気機器、化学、精密機器などが上昇した一方、不動産、保険、電気・ガスなどが下落した。フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の大幅高を受け、半導体株の東京エレクトロン<8035.T>やアドバンテスト<6857.T>は4%を超える上昇。反面、住友不動産<8830.T>や三菱地所<8802.T>など大手不動産株が軟調に推移した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり620/値下がり1150。売買代金上位では、米半導体株指数の急反発を受けてレーザーテックや東京エレクトロンが大幅高となったほか、国内証券による目標株価引き上げでエーザイが一時5ケタの大台替わりまで上昇。グロースの代表格であるメルカリなども堅調に推移した。一方、米長期金利の低下や円高進行を受けて、メガバンクを中心とした銀行株が売られたほか、商社株や自動車株の一角もさえないものが目立った。
 
 値上がり率上位では、今期3Q累計の赤字幅が前年同期から縮小したACCESSが一時ストップ高まで買われたほか、メルカリからITアウトソーシングサービス受注したニーズウェルが急伸。通期業績予想を上方修正したシキボウが1月につけた年初来高値を更新した。ナスダックの大幅高を好感してラクスやSansanなどのグロース株にも買いが向かった。一方、値下がりでは、日医工やテモナが利益確定売りに押された一方、直近急騰が目立った地銀株に安いものが目立った。

 あすも基本的にはしっかりの展開か。週末要因や米11月雇用統計の発表を控え反落も予想されるが、先日のパウエルFRB議長の講演で目先の金利変動要因は織り込んだ可能性がある。米国市場でダウ平均よりもナスダックや米半導体株指数などグロース系の反発が続くかが、明日の東京株式のポジティブな値動きのカギとなる。だが、TOPIX型優位の地合いが背景にある中、日本株のグロース株は跛行色が強くなっており、勢いもまちまち。もし、上述した米グロース系の上昇が軽微にとどまれば、あすの日本株物色の選択肢はきょう軟調だった銀行や自動車などのバリュー株の一角、インバウンドなどを材料にした内需株物色に落ちつく展開が予想される。
 
 11月はバリュー業種が優位の相場展開だった。12月はリターンリバーサル(グロース買い、バリュー売り)を狙いたいところだが、米ナスダックの大幅高が連続するような地合いに変化しない限り、TOPIXの優位性は保たれる公算が大きい。
 一方、昨年は12月第2週以降、11月までの下げ相場から一転してリバウンド基調に変化した経緯がある。今年はこれ以上円高が進行するような場合、逆に来週からは短期的に上昇一服となる可能性もあり上値への深追いは注意したいところだ。
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