株式明日の戦略-反落も大崩れは回避、あすも待ちの姿勢が続く

 31日の日経平均は3日ぶり反落。終値は106円安の27327円。米国株は大きめの下げとなったが、これを受けても寄り付きは小幅な上昇。ただ、序盤に上を試して節目の27500円を超えられなかったことから、開始早々に上値が重くなった。前場はプラス圏とマイナス圏を行き来して、3円安とほぼ横ばいで終了。一方、後場は地合いが悪化してマイナス圏が定着した。小安い水準でもみ合う時間帯が長かったが、終盤にかけて下げ幅を3桁に拡大。引け間際にきょうの安値をつけた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆9200億円。業種別では電気・ガス、金属製品、海運などが上昇している一方、銀行、鉱業、医薬品などが下落している。上方修正を発表した三和ホールディングス<5929.T>が後場急伸。反面、第一三共<4568.T>は3Q時点で通期の営業利益目標をほぼ達成したものの、見通し据え置きが嫌気されて後場に入って急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1149/値下がり624。日経平均は下落したが、値上がり銘柄は多かった。上方修正を発表したOLCが大幅上昇。今期は最終黒字を確保できる見込みとなった中部電力が急伸し、東電HDや九州電力など電力株全般に資金が向かった。上方修正と増配を発表したソシオネクストが商いを伴って上場来高値を更新。好決算を受けて前日にストップ高比例配分となったM&A総合が連日でストップ高となった。昼休みに通期見通しを更新し、配当見通しを引き上げた商船三井は、後場に売り買いが交錯したものの、引けでは1.3%高とプラスで終えた。

 一方、三菱UFJや三井住友など銀行株が大きめの下落。レーザーテックや東京エレクトロンなど半導体株も強めに売られた。キヤノン、HOYA、コーエーテクモなどが決算を受けて下落。3Qは大幅増益も先回りで期待買いが入っていた東映アニメが7%を超える下落となった。きのうからM&A関連が決算を材料に派手に動いており、1Qが大幅な減益となったストライクがストップ安。同様に1Qが大幅減益となったM&Aキャピタルパートナーズは場中値付かずのストップ安比例配分となった。

 日経平均は上値の重い時間帯が続いて後場に崩れたことから印象は悪いが、106円安と値幅はそれほど出ていない。30日のダウ平均が260ドル下げたことを鑑みると、大崩れを回避できた1日でもあった。あすもFOMCの結果発表待ちとなるため、指数に関しては上がりづらいとみておいた方が良い。ただ、プライムで値上がり銘柄が多かったように、今は指数に対する期待が低くても、個別を急いで売るような地合いにはなっていない。決算に関しても、弱い反応が出ると思われた銘柄が意外に値を保っている。キヤノン<7751.T>は売り気配スタートとなったが、引けでは1.9%安と常識的な下げにとどまり、ローソク足では実体の長い陽線を形成した。下方修正を発表したアンリツ<6754.T>も1%台の下落にとどまり、直近安値は割り込まなかった。個別の物色意欲は旺盛と思われるだけに、あすもきょう同様に値上がり銘柄が多くなるかに注目したい。
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