東京為替見通し=2月東京都CPIを確認、その後は日米・長期金利に要注目

 2日のニューヨーク外国為替市場でドル円は一時137.09円まで上昇した。10-12月期米単位労働コスト改定値が前期比年率3.2%と予想を上回り、米10年債利回りが4.0893%前後まで上昇した影響を受けた。ユーロドルは1.0577ドルまで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、2月の東京都区部消費者物価指数(CPI)を見極めた後は、日米・長期金利の動向次第の展開が予想される。また本日は週末を控えた実質ゴトー日(5・10日)ということもあり、東京仲値に向けた本邦実需筋による円絡みのフローにも注意したい。

 昨日の米国債市場では、全ての年限で利回りが4%を上回った。これを受けドル円は137.09円まで上昇したものの、200日移動平均線(※2日付け137.27円)の関門に阻まれた。200日線を上方突破するには、来週のパウエルFRB議長の議会証言でのタカ派発言、黒田日銀総裁最後の日銀金融政策決定会合での現状維持、米2月雇用統計のポジティブサプライズなどを待たなければならないのかもしれない。

 本日8時30分に発表される東京都区部CPIは、全国CPIの先行指標とされている。今回は前年比+3.3%と予想されており、1981年5月以来、41年8カ月ぶりの高水準となった1月の同4.3%上昇から急減速する見込み。日本政府は昨年10月、高騰する光熱費の負担を軽減する「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を盛り込んだ総合経済対策を決定しており、物価押し下げ効果は2月の請求分から表れる。家庭の電気代負担が2割程度減る模様で、2月の全国及び東京都区部のCPIの大幅低下が見込まれている。

 高騰している日本のインフレに対して、黒田日銀総裁と植田日銀総裁候補は、輸入物価上昇によるコストプッシュが主因であり、2023年度半ばにかけて2%を下回る水準まで低下する、と述べていた。

 2月の東京都区部CPIが予想通りに低下していた場合、全国CPIも同様に減速し、日銀新体制は現状の金融緩和策を当面継続する可能性が高まる。これは本邦長期債利回りの低下要因、すなわち円売り要因となる。リスクシナリオは、東京都区部CPIで物価上昇圧力が確認された場合。日銀がインフレ圧力を過小評価している可能性が高まるため、円買い要因となる。

 なお2月東京の「生鮮食品を除く食料とエネルギーを除いたコアコアCPI」前年比上昇率は+3.1%と予想されているおり、1月の+3.0%から伸び拡大が見込まれている。今後は、食料品を中心にした基調インフレ率が注目される可能性があり、そうなると日銀新体制の金融政策修正への警戒感が高まることになる。

 植田日銀総裁候補は、24日の衆議院での所信聴取で「大学に勤めているので、毎日お昼ご飯はコンビニの弁当で済ませている。450円ぐらいのお弁当が500円を超す水準にまで値上がりした」と食品価格の上昇を体感していることを吐露していた。かつて、日銀審議委員時代に6億円の豪邸に住み、年収2900万円と報じられたこともあり、年収3500万円の日銀総裁の座に向けて庶民派を演出したのかもしれない。

 日本時間10時45分には2月Caixin中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)が発表予定。市場予想は54.5と前回52.9から上振れが見込まれている。今週発表された同月製造業PMIは中国経済の回復基調を示し、オフショア人民元(CNH)や豪ドルの上昇に寄与した。本日も相場の動意につながるかもしれず、指標結果には留意したい。

(山下)
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