ニューヨーク外国為替市場概況・16日 ドル円、反発

 16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。終値は133.74円と前営業日NY終値(133.42円)と比べて32銭程度のドル高水準だった。欧州中央銀行(ECB)はこの日、定例理事会を開き政策金利を0.50%引き上げることを決めたと発表。声明では「現在の市場の緊張を注意深く監視している」としながらも、インフレ抑制を優先する姿勢を崩さなかった。市場では金融システムが不安定化するとの警戒が高まり、時間外のダウ先物が失速、米長期金利が低下した。ドル円は22時30分過ぎに一時131.72円と約1カ月ぶりの安値を更新した。米10年債利回りは3.3635%前後と2月3日以来の低水準を記録した。
 ただ、「JPモルガン・チェースやモルガン・スタンレーなど大手銀行は経営危機に陥っている米地銀ファースト・リパブリック・バンクへの支援策を検討。資本注入が含まれる可能性もある」「複数の銀行がファースト・リパブリックに約300億ドルを支援する」との報道が相次いで伝わると、一時は300ドル超下落したダウ平均が400ドル超上昇。投資家のリスク回避姿勢が後退し一転円売り・ドル買いが優勢となった。米10年債利回りが3.58%台まで上昇したことも相場の支援材料となり、一時133.83円と日通し高値を更新した。
 なお、ECBが銀行危機への懸念が高まる中でも大幅利上げを決定したことを受けて、米短期金融市場では米連邦準備理事会(FRB)が来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを決定するとの観測が高まった。

 ユーロドルも反発。終値は1.0610ドルと前営業日NY終値(1.0577ドル)と比べて0.0033ドル程度のユーロ高水準だった。ECBが欧米の金融機関の経営不安が高まる中でもインフレ抑制を優先する姿勢を示したことで、金融システムが不安定化するとの警戒から株価が失速。リスク・オフのユーロ売り・ドル買いが先行し、一時1.0551ドルと日通し安値を付けた。
 ただ、ファースト・リパブリック支援に絡んだ報道が伝わると、安く始まった米国株が上昇に転じたことからユーロ買い・ドル売りが優勢となった。1時前には1.0626ドル付近まで持ち直した。もっとも、NY午後に入ると再び1.05ドル台後半まで下押しするなど、方向感に乏しい展開だった。

 ユーロ円も反発した。終値は141.91円と前営業日NY終値(141.07円)と比べて84銭程度のユーロ高水準。ドル円の下落につれた売りが出て一時139.13円と1月20日以来約2カ月ぶりの安値を付けたものの、米地銀支援に絡んだ報道が相次いで伝わると、株価の持ち直しとともに買い戻しが優勢となった。取引終了間際に一時142.01円と日通し高値を更新した。

本日の参考レンジ
ドル円:131.72円 - 133.83円
ユーロドル:1.0551ドル - 1.0635ドル
ユーロ円:139.13円 - 142.01円

(中村)
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