ロンドン為替見通し=スイス金融再編、UBSの株価に注目

 本日のロンドン為替市場では、スイス金融再編を欧州投資家がどのように評価するかがポイントとなりそうだ。

 スイスでは19日、同国金融最大手のUBSが同2位であり財務不安が高まっていたクレディ・スイス(CS)グループを買収することが発表された。総資産規模はスイス名目GDPの約2倍という大型合併。もっとも買収額30億スイスフランはCSの純資産を大きく下回るとされ、問題の根深さが伺える。

 主要先進国の中銀がドル流動性供給の拡充を示したこともあり、ひとまずの安心感からアジア前半では米・株先買い/債券売りが先行した。もっとも一巡後は米株・金利とも上げ幅を縮小するなど、金融システミックリスクへの完全な不安払しょくには至っていない。

 欧州ではまず、UBS株価の動向が注目される。買収が評価されれば、他のリスク資産にも資金が戻ることになるか。しかしながら、スイス中銀が流動性支援枠を設定し、政府も損失に対する政府保証を与えたにもかかわらず、「UBSの共倒れ」を危惧する見方が広がった場合には注意が必要だろう。

 またCSが発行した劣後債「AT1債」について、160億スイスフラン分が価値ゼロとされることへの反応も気をつけたい。株式より低リスクとされる社債で巨額損失となれば、市場全般に金融危機への懸念が高まってしまうかもしれない。

 本日の経済指標は2月独生産者物価指数(PPI)と1月ユーロ圏貿易収支のみ。欧州午後には、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁の講演が予定されている。金融リスクへの不安を鎮めようとする発言が予想されるが、先週後半にデギンドスECB副総裁が述べた「一部の欧州銀行の脆弱性」についてのコメントも注目されそうだ。

 想定レンジ上限
・ユーロドルは15日高値1.0760ドル、スイスフラン円は90日移動平均線143.99円

想定レンジ下限
・ユーロドルは17日安値1.0608ドル、スイスフラン円が日足一目均衡表・雲の下限141.58円。


(小針)
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