株式明日の戦略-大幅安で25日線に接近、あすは短期的な分岐点に

 5日の日経平均は4日ぶり大幅反落。終値は474円安の27813円。米国株安を受けて、寄り付きから3桁の下落となった。海運株以外は売られるというほぼ全面安の地合いの中、場中も下げ幅を広げる展開。序盤では28000円に接近したところで下げ渋る動きも見られたが、早いうちに節目を割り込むと、一段と下方向に勢いがついた。後場には一時下げ幅を500円近くに拡大。27700円台に突入したところで25日移動平均線を支えに踏みとどまったが、戻りは限られ400円を超える下落で終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆8100億円。業種別ではプラスは海運のみ。相対的に値を保った情報・通信や水産・農林でも1%を超える下落となった。一方、鉄鋼、石油・石炭、卸売などの下げが大きくなった。日経電子版で次世代原発向けにバルブを開発すると報じられた岡野バルブ製造<6492.T>が急伸。半面、1Qが大幅な減益となったバイク王&カンパニー<3377.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり57/値下がり1763。川崎汽船など海運株が地合いの悪い中で逆行高。主力どころではパナソニックやオリンパスが上昇したほか、レーザーテックがプラスで終えた。政府が水素の供給を増やすとのニュースを受けて岩谷産業が年初来高値を更新。証券会社のカバレッジが入ったダイワボウや、株主還元強化を発表した東洋建設が大幅高となった。

 一方、海運株以外の市況関連が総じて弱く、日本製鉄や神戸鋼など鉄鋼株が軒並み大幅安。三井物産や住友商事など商社株の下げも大きかった。円安が一服したことでトヨタやマツダなど自動車株が総じて軟調。アダストリア、良品計画、ユナイテッドアローズ、力の源HDなど、決算や月次関連のリリースがあった小売株の弱さが目立った。証券会社が投資判断を引き下げた日本M&Aセンターが年初来安値を更新した。

 日経平均は大幅安。米国動向からはグロース・バリューどちらも買いづらく、手がけづらさが意識される中、多くの銘柄が売り込まれた。4日の米国株は、2月のJOLTS求人件数の低調な内容を嫌気した格好で下落した。本日、米国では3月ISM非製造業景気指数、3月ADP全米雇用リポート、2月貿易収支など、経済指標がいくつか発表されることから、これらを受けた米国マーケットの動向が大きく注目される。米国の株式市場は7日が休場のため、きょうの動きが弱いと、あす6日は連休前にリスク回避の売りが出てきやすい。

 日経平均の安値は27788円で、きっちり25日線(27741円、5日時点、以下同じ)近辺で売りは止まった。ここで反転できれば、ほどよく短期的な過熱感が削がれることになる。下には13週線(27449円)や26週線(27349円)などサポートになりそうな水準が多く、きょうの下げで大きなトレンドが変わったような雰囲気はない。ただ、25日線を明確に割り込んだ場合には、楽観ムードが後退してしばらくは上値が重くなる可能性が高い。今晩の米国株次第ということにはなるが、あすは4月相場の前半戦を占う意味で重要な1日となる。
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