株式明日の戦略-29日後場に跳ねて大幅高、30日は権利落ちの影響が大きい銘柄に注目

 29日の日経平均は大幅に3日続伸。終値は365円高の27883円。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1734/値下がり78。ソフトバンクGが6.2%高と目を見張る上昇。出資先であるアリババ集団の事業の6分割発表が買い材料となった。東京時間で為替が円安に振れたことから、トヨタやホンダなど自動車株が大幅上昇。ブリヂストン、ユニプレス、市光工業など部品関連にも買いが入った。北越コーポ、大王製紙、日本製紙など製紙株に強い動きが見られた。会長の解職を発表したフジテックが7.3%高。通期の利益および期末配当の見通しを引き上げたレーサムが急騰した。

 一方、日本郵船など海運大手3社が逆行安。配当利回りが高い分、権利落ち後に対する警戒が強まった。利回りが高く期末一括配当のナガセは11.4%安と大きく値を崩した。米金利上昇が重荷となって東京エレクトロンが下落。今期は営業赤字に転落する見通しとなった東京インキが急落した。IPOの住信SBIネット銀行の案外の出足を横目で見ながら、4月に楽天銀行の上場を控える楽天Gが売りに押された。

 本日スタンダードに新規上場した住信SBIネット銀行は、公開価格を小幅に上回る初値をつけ、終値は初値を小幅に下回った。グロースに新規上場したAnyMind Groupの初値は公開価格と同値となり、終値は初値を小幅に上回った。

 日経平均は大幅高。米国株安を跳ね返して3桁の上昇となり、後場に入って一段と上げ幅を広げた。配当再投資の買い期待が相応に強かったものと思われる。きのうの同欄で、3月の権利付き最終日は後場の値動きが大きくなっている(2022年は高値引け、2021年は大幅高も後場急失速)ことについて触れたが、2023年も後場に大きな動きがあった。あすは海外要因がニュートラルであれば、配当落ち(255円程度)の分、水準が切り下がることとなる。きょうはかなり強かったが、今週末の31日が週末、月末、年度末でもあり、週明け辺りまでは指数の値動きが荒くなるかもしれない。

 物色に関しては海運、鉄鋼、商社など、配当利回りが高めのバリュー業種がどういった動きを見せるかを注視しておきたい。配当分を落としたところで改めて買われるのか、それとも資金が逃げてしまうのか。きょうの海運株の下げもそこまで大きくはならなかった。これらに配当落ちを待っていたような買いが入るのであれば、指数が早々に落ち分を埋めに行く展開も期待できる。
 また、優待に手厚い銘柄にも注目しておきたい。JR東海<9022.T>やJR西日本<9021.T>などは今週に入って動きが変わってきた感がある。権利を取るための駆け込みにすぎないかもしれないが、行楽シーズンに突入することから、レジャー関連は権利落ち後にも注目を集める要素がある。


(小針)
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