株式明日の戦略-休場明けは大幅高、FRBの舵取りに注目が集まる

 22日の日経平均は大幅反発。終値は520円高の27466円。米国では金融システムに対する過度な不安が後退し、ダウ平均が20日、21日と連日で大幅上昇。この動きを好感して、寄り付きから300円を超える上昇となった。27200円台で寄った後、場中も上値を伸ばす展開。前場のうちに上げ幅を500円超に広げると、後場には節目の27500円を上回る場面もあった。米国動向を受けて金融株が軒並み高となったほか、主力グロース株にも強い動きが見られた。27500円より上は重く、引けにかけてはやや失速したが、それでも終値で500円を超える上昇となった。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆9300億円。業種別では全33業種中、32業種が上昇。商品・商品先物、鉱業、その他金融などが大幅高となった一方、空運が下落し、不動産や電気・ガスが小幅な上昇にとどまった。楽天銀行の上場がきょうにも東証から承認される見込みと伝わったことから、楽天グループ<4755.T>が後場に入って大幅上昇。半面、不動産株は株高の流れに乗り切れず、大手の三井不動産<8801.T>と三菱地所<8802.T>が逆行安となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1704/値下がり110。米国で金融不安が後退したことから、三菱UFJ、第一生命、MS&ADなど金融株の多くが上昇。野村HDやマネックスGなど証券株の動きが良かった。キーエンス、信越化学、日本電産、メルカリなど、主力のグロース株が大幅高。原油価格の持ち直しを受けてINPEXに見直し買いが入った。増配を発表したレントラックスや鴻池運輸が買いを集め、中期経営計画を上方修正したスポーツフィールドが10%を超える上昇。JNSHDがリリースを材料にストップ高となった。

 一方、金融株が全般強い中でもゆうちょ銀が軟調。WBC日本代表の劇的な優勝が午後のニュースを独占したが、株式市場では関連銘柄として賑わったミズノやハブが材料出尽くしの売りに押された。下方修正を発表した新電工が6%を超える下落。前営業日に失望決算を受けてストップ安比例配分となったウェルプレイド・ライゼストが14.8%安と急落した。

 本日スタンダードに新規上場したSHINKOは、初値は公開価格を小幅に上回ったものの、終値は初値を大きく下回り、公開価格も下回った。

 日経平均は大幅高。休場の間の米国株が強く、全体の底上げが進んだ。本日、米国ではFOMCの結果が公表される。足元では金融機関の株価が不安定になっている一方、インフレ抑制のためには金融引き締めも続けなければいけない状況で、FRBは難しい舵取りを要求されている。出てくる内容や、それに対する米国株の反応は読みづらい。

 FRBが0.25%、もしくは0.5%の利上げを決定し、それに対して米国株が落ち着いた反応を示す展開がベストシナリオ。FRBがここで据え置きや利下げを決定すると、この先、金利を上げづらくなる。金融引き締めを続けることで経営不安が顕在化する金融機関がまだ出てくるリスクはあるが、今のところFRBや米財務相はネガティブなニュースが出てきた際に、適切なメッセージを迅速に届けている。金融不安が高まったことで、今後出てくる米国の経済指標ではインフレの鈍化傾向が確認できる可能性が高い。それだけに、今回は利上げが決定されたとしても冷静に消化してほしいところだ。

 日経平均に関しては、25日線(27619円、22日時点、以下同じ、22日終値は27466円)を上回ることができれば、いったんは下値不安が後退すると思われる。逆に75日線(27235円)を下回ってしまうようだと、3月高値からの調整がまだ終わっていないとの警戒が強まる。きょうは高く始まって上げ幅を広げる強い上昇であっただけに、まずは現状の27500円近辺で値を固めることができるかに注目したい。
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