株式明日の戦略-週間では800円を超える下落、来週は戻り基調に入るか

 17日の日経平均は大幅反発。終値は323円高の27333円。米国株の大幅高を好感して、寄り付きから200円を超える上昇。高く始まった後はいったん萎み、上げ幅を2桁に縮めた。ただ、27100円を割り込んだところで買いが入り、10時近辺からは改めて上を試しに行った。前場では大型株が案外で27200円近辺ではもたついたが、後場はハイテクグロース株を中心に動きが良くなるものが増えてきたことから、27300円台に到達。ほぼ高値圏で取引を終えた。中小型のグロース株買いが盛り上がっており、グロースコア指数が4.1%高、マザーズ指数が3.5%高となった。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆6700億円。業種別では空運、精密機器、陸運などが上昇している一方、石油・石炭、建設、海運などが下落している。上方修正と増配を発表したサンリオ<8136.T>がストップ高。半面、本決算が失望を誘ったエニグモ<3665.T>が急落した。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり1350/値下がり423。グロース株が強く、レーザーテック、アドバンテスト、HOYAなど半導体関連が大幅上昇。グロース市場ではフリー、スマレジ、M&A総研などが急伸した。3Q時点で通期の利益計画を超過したHameeが10%を超える上昇。上方修正を発表したMacbee Planetはストップ高まで買い進まれた。前日、上方修正などを材料にストップ高比例配分となったANYCOLORは、きょうも買いが殺到して連日でストップ高比例配分となった。

 一方、東京海上やMS&ADなど保険株の一角が軟調。日経新聞のコンテナ輸送に関する記事を材料に、川崎汽船など海運株が売りに押された。ネガティブな材料があった建設株が売られており、下方修正と期末配当見通しの引き下げを発表した三井住友建設が大幅安。施工中の工事に関して精度不良を発生させたと発表した大成建設が急落した。新興グロース株買いが盛り上がる中、代表格のビジョナルは決算が市場の期待に届かず10.7%安。中山製鋼所や合同製鉄などバリューの代表業種である鉄鋼株の多くが利益確定売りに押された。

 日経平均は大幅高。前場では明らかに上値が重かったが、グロースコア指数やマザーズ指数の大幅高に後押しされるかのように、後場に入って上げ幅を広げた。今週は海外の金融不安で米国の長期金利の水準が切り下がる中、グロース株が復活に向けて動き出したようにも見える。業種別の週間騰落を見ると、33業種中、31業種が下落しており、上位は医薬品(+0.6%)、陸運(0.0%)、空運(-0.6%)、情報・通信(-1.1%)、精密機器(-1.2%)、下位は保険(-11.1%)、銀行(-10.5%)、証券・商品先物(-8.3%)、鉱業(-8.2%)、非鉄金属(-7.8%)となった。

 パフォーマンスが良かったのは、ディフェンシブ系(医薬品、情報・通信)、グロース系(精密機器)、原油安メリット業種(陸運、空運)など。悪かったのは金融と市況関連で、バリュー系がズラリと並ぶ。大きなトレンドが変わったのか、それとも一時的なアンワインドか。方向性を見定める観点から、来週は今週の動きが良かった業種と悪かった業種の両方に注意を払っておきたい。


【来週の見通し】
 堅調か。21~22日に米国でFOMCが開催される。来週は他に目立った材料が少ない上に、国内は火曜21日が春分の日により休場で、FOMCの結果を消化する木曜23日までは動きづらい。ただ、今回のFOMCに関しては、金融システムが不安定になった場合には流動性を供給するとのメッセージが市場に届けられれば、仮に利上げ幅が0.5%であった場合でも、グローバル市場は結果を冷静に消化するのではないかとみている。直近で米金融機関の破たんがあったことを踏まえれば0.25%の利上げが無難だろうし、据え置きなら株買いの材料となる。今回はFOMCに対する警戒はさほど高まらず、この近辺では売りを仕掛けづらい地合いが醸成されると想定。そのような中、直近で大きく崩れた日本株には押し目買いが入ると予想する。
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