株式明日の戦略-大幅安も週間では上昇、来週は米指標にらみも底堅い展開か

 10日の日経平均は6日ぶり大幅反落。黒田総裁下での最後の日銀会合は、結果が出てくるのが異様に早かったが、株式の反転材料とはならなかった。479円安(28143円)と結構な下げにはなってしまったが、きょうは、(1)米国で新たにネガティブな材料が出てきて米国株が崩れた、(2)きょうは日銀が現状維持であれば金融株は売られやすい日であったが、(1)の材料が金融株売りに追い打ちをかけた、(3)メジャーSQ日で需給の変化が意識されやすかった、(4)現状では中身を警戒しておかなければいけない米2月雇用統計の発表前であった、(5)前場で逆行高となって希望の星的な立ち位置にあった海運株が、材料があって後場に崩れた―と、これでもかというくらい買いを入れづらい材料が多かった。金融株や海運株などはまだ売りが続く可能性があるが、それ以外の銘柄は短期的な過熱感が削がれることで新たな買いが入る展開も期待できる。きょうは半導体株などを中心にハイテク株は比較的値を保った。また、業種別でプラスとなったゴム製品やパルプ・紙にはPBR1倍割れ銘柄が多い。今は弱気に傾くのは得策ではなく、モメンタムの強い銘柄を冷静に拾うのに良い局面と考える。


【来週の見通し】
 しっかりか。14日に注目の米2月CPIが出てくるほか、この日以降にも米国の指標発表が多く、これらの内容に一喜一憂することになるだろう。ただ、パウエル議長の議会証言を経て、市場は次回FOMCでの0.5%利上げを織り込みつつある。そのため、指標が軒並み強かった場合でも、それを理由に米国株がパニック的に売られる可能性は低い。国内では売り出しを発表したゆうちょ銀の値決めが13日~16日の間に発表される予定で、これに向けた換金売り需要が全体の上値を抑える可能性はある。しかし、今週、日経平均は28500円を上回る場面があり、TOPIXは昨年来高値を更新してきたことから、押し目があれば買い遅れた投資家からの資金が入ると考える。9日までの強い上昇に対する小休止のような形で、利益確定売りをこなしながら底堅く推移する週になると予想する。


【今週を振り返る】
 堅調となった。米国では議会証言のパウエルFRB議長の発言がタカ派色の強いものとなり、市場は次回FOMCでの利上げ幅が0.25%ではなく0.5%になる可能性を強く意識した。ただ、これを受けて米国株が大幅安となった際にも日経平均は上昇するなど、日本株は落ち着いた反応を見せた。バリュー株を中心に個別物色が盛り上がり、TOPIXは昨年来の高値を更新。日経平均も節目の28000円や28500円を突破して、昨年11月の高値を上回った。週末10日は米国で地銀株が暴落したことなどを嫌気して大きく売られたものの、木曜までの貯金が大きく、週間では上昇した。日経平均は週間では約216円の上昇。ただ、週初にギャップアップスタートとなって週末に大きく崩れたことから、週足では陰線を形成した。


【来週の予定】
 国内では、1-3月期法人企業景気予測調査(3/13)、5年国債入札(3/14)、日銀金融政策決定会合議事要旨(1/17~18開催分)、2月訪日外客数(3/15)、2月貿易収支、1月機械受注、2月首都圏マンション販売、20年国債入札(3/16)などがある。

 海外の経済指標の発表やイベントでは、米2月消費者物価指数(3/14)、中国2月鉱工業生産、中国2月小売売上高、中国2月固定資産投資、米3月ニューヨーク連銀景気指数、米2月小売売上高、米2月生産者物価指数、米3月NAHB住宅市場指数、米12月対米証券投資(3/15)、ECB定例理事会(ラガルド総裁記者会見)、米2月住宅着工件数、米3月フィラデルフィア連銀景気指数(3/16)、米2月鉱工業生産、米3月ミシガン大学消費者信頼感指数(3/17)などがある。

 米企業決算では、アドビ(3/15)、ダラー・ゼネラル、フェデックス(3/16)などが発表を予定している。
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