株式明日の戦略-米国株安を跳ね返して3ケタ上昇、円安期待を支えに堅調地合いが継続か

 8日の日経平均は4日続伸。終値は135円高の28444円。米国ではパウエルFRB議長からタカ派的な発言が出てきてことから、ダウ平均が500ドルを超える大幅下落。ただ、これを受けても寄り付きは2桁の下げにとどまった。さらに、寄り付き直後を安値にプラス圏に浮上。売り需要がそれほど強くないことが確認できたことから、以降は上を試しに行った。前場では高くなったところでは戻り売りも出てきたが、後場は右肩上がりの展開。引け間際にやや値を消したものの、3ケタの上昇で取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆7200億円。業種別では陸運、小売、不動産などが上昇している一方、鉱業、非鉄金属、石油・石炭などが下落している。特別配当の実施を決定した日本道路<1884.T>が大幅上昇。半面、上期が営業赤字となったファーマフーズ<2929.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1237/値下がり521。売買代金上位銘柄では、ファーストリテイリング、アドバンテスト、神戸鋼などが強い動き。円安が刺激材料となったかインバウンド関連が動意づいており、三越伊勢丹、高島屋など百貨店株や、JR東海、JR西日本、東急など鉄道株が大幅高となった。月次が強かった鳥貴族が3%近い上昇。証券会社のリポートを材料にNTNやマツダが買いを集めた。次回FOMCで大幅利上げの可能性が高まる中でも米10年債利回りが落ち着いていたことから、住友不動産や東急不動産など不動産株に見直し買いが入った。

 一方、米債券市場の反応は銀行株の三菱UFJには売り材料となった。原油安が嫌気されてINPEXや石油資源開発が大幅安。三菱商事や三井物産など、このところ動きが良かった商社株が利益確定売りに押された。長期発行体格付けの引き下げが伝わった日産自動車が円安が進む中でも3%を超える下落。3Q決算発表の延期と第三者委員会の設置を発表したビジョナリーが急落した。

 日経平均は下落スタートから切り返して3ケタの上昇。ダウ平均の500ドルを超える下落を受けての3ケタ上昇はかなり強い。今週は色々と注目材料があるが、その中で「パウエルFRB議長の発言から市場が次回FOMCで0.5%の利上げを意識すること」は、大きなリスクになるかと思われた。実際、米国株には神経質な反応が見られたが、こういった場面を待ちわびていたかのように、日本株には買いが入った。

 米国では本日も、米下院銀行委員会公聴会でパウエルFRB議長の発言機会がある。また、2月のADP全米雇用リポートが出てくる。米国株が早期に落ち着きを取り戻すことができるのか、それとも、3月FOMC(3/21~22)に向けて調整色を強めていくのかという点には注意を払っておく必要がある。市場では、足元の日本株が強いのは、メジャーSQに向けて踏み上げ的な買い需要が発生しているといった見方がある。日本株だけが強い状況は期間限定かもしれないため、米国株がここからどう動くかは非常に重要だ。

 国内ではあすから(~10日)黒田総裁下で最後の日銀会合が開催される。最後ということで色々と思惑は膨らむが、新総裁となる植田和男氏が現行の金融政策を支持する姿勢を示しているのだから、このタイミングで日銀が動く必要はない。現状維持であれば、今の相場環境では円安が進みやすい。この点は日本株のサポートになると見込まれる。外需はもちろん、訪日消費の拡大という点では内需にも恩恵が期待できる。きょうは突然インバウンド関連に強い買いが入ったが、円安基調が続いているうちは物色面においても好循環が継続する可能性が高い。
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