株式明日の戦略-米国株安を跳ね返して上昇、バリューだけでなくグロースにも注目

 3月に入り1日の日経平均は続伸。終値は70円高の27516円。米国株安を嫌気して下落して始まると、序盤は下げ幅を広げて戻してまた売られと、不安定な動きが続いた。しかし、27300円は割り込まず、開始一時間程度で下げ止まって反転。値を戻して前引け間際にプラス圏に浮上した。後場は一度もマイナス圏に沈むことなく、じり高の展開。27500円近辺では売り買いが交錯したが、地合いが改善して値上がりに転じる銘柄も増える中、終値でも27500円を上回った。TOPIXやグロースコア指数も後場に入ってプラス転換。一方、マザーズ指数は下落で終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆7800億円。業種別では鉱業、鉄鋼、非鉄金属などが上昇した一方、精密機器、海運、医薬品などが下落した。自己株取得および消却を発表したカナデン<8081.T>が急騰。反面、公募・売り出しを発表した大光<3160.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1075/値下がり672。上方修正など好材料が多かった味の素が9%を超える上昇。神戸鋼、合同製鉄など鉄鋼株に強い動きが見られた。INPEXのほか、商社株の三井物産や三菱商事が原油高に好反応。世界市場向け建機の値上げを発表した日立建機が買いを集め、コマツや安川電機、THKなど機械関連全般に資金が向かった。きのう売り出しに関するニュースをこなして上昇したゆうちょ銀行が大幅高となり、昨年来高値を更新した。

 一方、きのう後場に崩れた海運大手の日本郵船と商船三井が連日の下落。メガバンクの三菱UFJと三井住友が売りに押された。レーザーテック、リクルート、任天堂などグロース株の一角が軟調。2月の既存店売上高が前年同月比マイナスとなったツルハHDが厳しい下げとなり、ウエルシア、スギ、クスリのアオキなど同業にも売りが波及した。株式の売り出しを発表した関西ペイントが大幅安。アースインフィニティは1:4の株式分割が好感されず、連日のストップ安となった。

 日経平均は下落スタートからプラス転換。27500円から大きく下振れたところでそれを修正するかのように買いが入り、27500円近辺で取引を終えた。きのう2月28日は後場安、きょう3月1日は後場高となっており、きのうの下げは月末要因と捉えて良いだろう。きのうの後場に崩れた業種では、鉄鋼は強く海運は弱かったが、全体で見れば海運以外の景気敏感銘柄に買いが入っており、バリュー株に対する関心が低下したわけではなさそう。その一方で、きょうはアドバンテスト、ディスコ、SCREENなどグロース株にも強い動きが見られた。指数は良くも悪くも煮詰まっているが、個別を物色するには悪くない地合いとなっている。

 今晩、米国では2月のISM製造業景気指数が発表される。これに対して米国株が強い反応を示すようだと、3日発表予定のISM非製造業指数も米株市場を大きく刺激する可能性がある。米国株の方向性を見極める点で大きく注目されるのは10日に発表される2月雇用統計となるが、米10年債利回りは4%に接近しており、今は指標に一喜一憂しやすい局面。それだけに、今の日本株がほどよく米国株と距離を置き、ネガティブな材料(きょうであればダウ平均の大幅安)に耐性を示しているのは良い傾向。日経平均は27500円を上回ってきたため、ここから上に行くハードルは高くなるが、きょう上回った25日線(27483円、1日時点)より上をキープできるかが当面の注目点となる。
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