株式明日の戦略―連日の大幅安も後場は持ち直す、グロース株の出番到来か

 13日の日経平均は大幅続落。終値は311円安の27832円。10日の米国市場は、シリコンバレーバンクの経営破綻などから、株安、長期金利急低下、ドル安とリスクオフの動きとなった。これを受けて200円超下げて始まると、前場では下値模索の展開。金融株や自動車株が大きく崩れ、安いところでは500円超下げる場面もあった。一方、27600円台までで売りは一巡。後場に入ると下げ渋り、緩やかながら戻りを試しに行った。結局、300円を超える下落とはなったものの、大引け間際に後場の高値をつけた。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆1200億円。業種別では海運と鉱業の2業種がプラスで、陸運が小幅な下落。一方、銀行、保険、証券・商品先物など金融関連の下げが大きかった。海外の月次好調が確認できた良品計画<7453.T>が大幅上昇。半面、自動車株がリスクオフの円高に強い売り反応を示しており、三菱自動車<7211.T>やマツダ<7261.T>が大幅安となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり171/値下がり1639。ほぼ全面安となる中で、川崎汽船、商船三井、日本郵船の海運大手3社が逆行高。値がさ株のファーストリテイリング、キーエンス、レーザーテックが終盤に買われてプラス圏に浮上した。円高銘柄との見方が強いニトリHDが3%を超える上昇。1:4の株式分割を発表したワットマンが急伸し、1Qが大幅増益が好感されたトビラシステムズがストップ高となった。

 一方、三菱UFJ、三井住友、みずほFGのメガバンク3行が大幅安。千葉興銀、コンコルディア、富山第一銀など地銀の多くが派手に下げた。ゆうちょ銀、日本郵政、かんぽ生命の郵政3社も大幅安。米国で不動産株が売られた流れを受けて、三井不動産や東京建物など不動産株が売りに押された。WBCでは日本代表が全勝で1次リーグを通過したが、ハブやミズノなどこれを材料に買われた銘柄は利食い売りが殺到して急落。下方修正を発表したエッジテクノロジーが18.6%安と値を崩した。

 日経平均は連日の大幅安。ただ、その手前の動きがかなり強かったことから、現時点では直近の上昇分の大半を消失したまでにすぎない。きょうの終値は27832円だが、2月末の水準(27445円、2/28)をまだ大きく上回っている。安値27631円は10時15分と前場のうちにつけており、25日線(27717円、13日時点)に接したところで長い下ヒゲをつけて終えた。1日を通しての場中の動きがそこまで悪くなかったことは、下げ止まりへの期待を高める。

 ここから反転するのであれば、短期的にはグロース株の動きが良くなる可能性がある。次回のFOMCで0.5%の利上げはあり得ないといった流れとなり、0.25%の利上げすら見送られるとの見方が強まれば、グロース株向きの地合いが想定される。あす14日には米国で2月消費者物価指数(CPI)が発表されるが、出てくる内容がそれほど強くなければFRBが金融引き締め強化を急ぐ理由もなくなる。

 米シリコンバレーバンクの経営破綻に関しては、米国の利上げの弊害が出てきたとの指摘も多くある。そのため、CPIがかなり強い場合には、それを理由にバリュー株を買って行くというよりは、株式の買いづらさの方が強く意識されてしまうかもしれない。バリュー株がしばらく休憩してグロース株が見直され、全体としてはリスクオフムードが和らぐことが理想のシナリオ。きょう後場にプラス転換したファーストリテイリング、キーエンス、レーザーテックはいずれもグロース色が強く、これらがあす以降に戻りを先導するような動きを見せてくるかに注目したい。
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