株式明日の戦略-安値引けで27000円割れ、休場明けも不安定な地合いが続くか

 20日の日経平均は大幅反落。終値は388円安の26945円。米国株の大幅安を嫌気して下落スタート。UBSによるクレディ・スイスの買収など買い戻しを誘うような材料も寄り前に伝わっていたことから、序盤では底堅く推移してプラス圏に浮上する場面もあった。しかし、国内金融株にポジティブな反応は限られた一方、グロース株を中心に他の多くの銘柄は弱く、すぐにマイナス転換。そこからは売りに勢いがついた。翌日が休場でリスク回避ムードが高まる中、後場に入ると下げ幅を300円超に拡大。節目の27000円を割り込み、安値引けとなった。17日に大幅高となったグロースコア指数やマザーズ指数が、どちらも上げ分を打ち消す大幅安となった。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆9700億円。業種別では全業種が下落。下げが相対的に小さかったのは、石油・石炭、非鉄金属、ゴム製品など。一方、海運、倉庫・運輸、不動産などが大幅安となった。日経新聞で大容量の全個体電池を世界で初めて量産すると報じられたマクセル<6810.T>が、場中値付かずのストップ高比例配分。半面、1Qが最終赤字となったウェルプレイド・ライゼスト<9565.T>がストップ安比例配分となり、親会社のカヤック<3904.T>も大幅安となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり93/値下がり1723。ゆうちょ銀行が全市場の売買代金2位となる大商いで2%を超える上昇。日本電産やロームなど京都銘柄の一角が逆行高となった。前営業日にストップ高となったサンリオに追随買いが入って7%近い上昇。3Q時点で通期の利益計画を超過したイメージマジックがストップ高となった。

 一方、レーザーテックが5.8%安と派手に下げた。日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運大手3社がそろって大幅安。これを横目で見ながら三井倉庫や住友倉庫など倉庫株も軒並み大きく値を崩した。世界的な金融システム不安への警戒が拭い切れない中、三井不動産、住友不動産、オープンハウスなど、不動産・住宅関連が全般軟調。新興グロース株に対する風向きが変わったことで、直近の動きが良かったフリーやスマレジが急落した。プライムの値下がり率トップは豊田自動織機。フォークリフト用エンジン認証で法規違反の可能性を確認したと発表したことが売り材料となった。

 日経平均は大幅安。グローバルで市場が非常に不安定となっているため、休場を前にきょう下に値幅が出たことは仕方がない側面もある。ただ、グロースコア指数やマザーズ指数の急落は残念な動き。17日に大幅高となったことで、新興グロースの物色が盛り上がりそうな雰囲気も出てきていた。長期金利低下や内需銘柄が多いという点から、不安定な相場環境をむしろ追い風にできるといった要素もあった。しかし、きょうの大幅安により、新興グロース株に注目していた市場参加者は委縮してしまうだろう。昨年、上場時に注目を集めたeスポーツ関連のウェルプレイド・ライゼストは、決算が嫌気されてきょうは値が付かなかった。17日に決算を消化したとしても同じ反応だったのだろうか。そう思ってしまうくらい、新興グロースを取り巻く環境が1日で様変わりした。

 今週、東京市場でFOMCの結果を消化するのは木曜23日。休場明けの水曜22日もきょう同様に不安定となる可能性が高い。必ずしも売られるとは限らず、リスクオフの巻き戻しで強く買われる展開も想定される。ただ、FOMCで何が出てくるかを確認するまでは、方向感は定まらないだろう。海外市場の2日分の値動きを消化するため値幅は出やすいが、そのことがノイズになるかもしれない点は留意しておく必要がある。

 手がけづらさが日増しに強まってはくるが、FRBはクラッシュは絶対に回避するよう動くと思われる。また、仮に今回のFOMCが株安を招く材料になったとしても、その時は次のFOMCまで様子見などと呑気なスタンスは採らず、市場が落ち着くまで次の手を打ってくる可能性が高い。まだ大底ではないかもしれないし、この先も押し目は何度も訪れるかもしれないが、狙っている銘柄があれば安いところは丹念に拾っておきたいところだ。ただ、PERで説明がつかないタイプの中小型グロース株に関しては、きょうの動きを見る限り、買いを急ぐ必要はないように思える。
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