株式明日の戦略-今週は歴史的な上昇週、来週はクールダウンか

 19日の日経平均は7日続伸。終値は234円高の30808円。米国株高と円安に強い反応を見せ、寄り付きから200円を超える上昇。2021年9月につけた取引時間中の高値30795.78円を上回った。そこから上げ幅を300円超に広げたが、30900円台では上値が重くなった。一方、急速に値を消しても、30700円より下では改めての買いが入った。開始20分程度できょうの高値と安値をつけると、以降は強弱感が交錯して30800円近辺でのもみ合いが引けまで続いた。バブル崩壊後の高値を更新して取引を終えている。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆4100億円。業種別では精密機器、サービス、機械などが上昇している一方、銀行、パルプ・紙、陸運などが下落した。24.3期の設備投資に7000億円を投じると伝わったパナソニック ホールディングス<6752.T>が大幅上昇。半面、富士通ゼネラル<6755.T>が後場急落。株価上昇により買収交渉が難航しているとの観測報道が売り材料となった。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり812/値下がり945。主力どころでは、ファーストリテイリング、信越化学、オリンパスなどが大幅上昇。サービス関連の動きが良く、リクルートが4%超上昇したほか、子会社の上場が承認されたエムスリーが買いを集めた。東芝とリコーが事務機の生産部門を統合するとの観測を材料に、リコーと東芝テックが急伸。今期の見通しが好感されたアーレスティが一時ストップ高となるなど値を飛ばした。足元で振れ幅が大きくなっているAbalanceが、きょうは強く買われてストップ高となった。

 一方、主力ハイテク株は強く始まった後に失速したものが多く、アドバンテストが2%を超える下落。三菱UFJや三井住友など銀行株の弱さが目立った。高島屋、H2Oリテイル、西松屋、トレファクなど小売株に軟調なものが多く散見され、決算が失望を誘ったうかいが大幅安となった。Aimingは新作ゲームのリリース延期発表が嫌気され、一時ストップ安となるなど急落した。

 日経平均は7日続伸。特に今週は週間で4桁の上昇となり、3万円やバブル後の高値を上回るなど、かなり強い動きを見せた。株式市場では日本株の注目度が日増しに高まっている。また、本日から広島ではG7サミットが開催されている。ウクライナのゼレンスキー大統領が来日して出席するとの観測も流れており、政治の面でも日本の注目度が高まっている。岸田首相は就任当初は株式市場との相性の悪さが取りざたされていたが、就任以降、自身に関しては大きな減点がなく、足元では支持率も改善傾向にある。そして、首相のおかげという印象は薄いながらも、歴史的な株高局面が到来している。今回のサミットを大きな波乱なく終えることができた際には、岸田首相に対する世の中と市場の評価が一気に高まる可能性がある。そのことは、日本株にとっても大きなプラス材料になるだろう。


【来週の見通し】
 軟調か。日経平均は19日まで7日続伸となり、12日以降の6営業日はすべて3桁の上昇。さすがに高値警戒感が出てきて、17日や19日はプライム市場で値上がりよりも値下がり銘柄の方が多かった。来週は国内で材料が少ないこともあり、いったん上昇にはブレーキがかかり、クールダウンの週になると予想する。ただ、今週はハイテクを中心に大型株がすこぶる強く、指数の上昇に乗り切れなかった銘柄も少なくない。日経平均が下げたとしても出遅れ銘柄が見直されやすく、リスク選好ムードの強い地合いが大きく変化することはないと考える。日経平均も3万円を下回るようなら、押し目を待っていた投資家からの買いが期待できる。やや水準を切り下げるも、3万円近辺で値を固める週になると予想する。
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