株式明日の戦略-後場の急変で上昇一服、5日線上をキープできるかが焦点に

 23日の日経平均は9日ぶり反落。終値は129円安の30957円。米国株はまちまちで終えたが、ナスダック高や円安進行を好感して買いが先行。前場では200円超上昇して31300円台に乗せる場面もあるなど、堅調に推移した。しかし、後場に入ると地合いが一変。急速に値を消す流れとなってマイナス圏に沈むと、下げ幅を200円超に広げた。後場のスタート直後が非常に弱く、それ以降は値動きが落ち着いて幾分戻したが、31000円は下回り、3桁の下落で終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆7600億円。業種別ではパルプ・紙、証券・商品先物、海運などが上昇している一方、輸送用機器、鉄鋼、空運などが下落した。下方修正発表も、目先の悪材料出尽くしと受け止められたAiming<3911.T>が大幅上昇。半面、トヨタ<7203.T>が引け間際に急落しており、5%近い下落となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり356/値下がり1420。レーザーテックが終盤に買われて2%を超える上昇。証券会社が目標株価を引き上げたリクルートが大幅高となった。日本製紙が証券会社の投資判断引き上げを受けて急騰しており、同業の大王製紙や三菱製紙にも水準訂正を期待した買いが入った。月次が好感されたレントラックスが急伸。アイスペースが全体の地合いが悪化する中でも21.6%高と値を飛ばした。

 半面、東京エレクトロン、ソニーGが2%を超える下落。小田急、富士急など鉄道株が軒並み安となったほか、JAL、ANAなど空運株が軟調となった。後場に地合いが悪化した局面では、日本製鉄や神戸鋼など鉄鋼株の弱さが目立った。足元で荒い動きが続いているAbalanceが、全市場の売買代金2位となる大商いで11.9%安。公募・売り出しを発表したスミダコーポレーションが16.2%安と急落した。

 日経平均は9日ぶりに反落。前場と後場で景色が変わった。ただ、安値30828円は12時47分につけており、突然崩れた割には下げ渋っている。終値(30957円)では5日線(30704円、23日時点)を上回っており、これより上をキープできるかが目先の焦点となる。あっさり割り込むようなら、3万円辺りまでは一気に調整してくるかもしれない。一方、割り込まなければ、きょうの下げは過熱感を冷やす一時的な売りとの見方が強まる。

 なお、急変で下げにまで至ったことから、あす以降は米国株が下げても日経平均が上昇するような独歩高的な動きは見られなくなるかもしれない。足元で債務上限問題に揺れる米国動向には注意を払う必要が出てきたと言える。日経平均の続伸が止まったからといって下げ基調に転じるような弱い動きにはならないとみているが、総強気ではなくなることで目先の上値は重くなりそう。腹八分目でもいったんは利益確定を検討したいタイミングではある。
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