東京為替見通し=ビッグイベント目前、ただしゴトー日の仲値には注意

 昨日の海外市場では、4月米卸売物価指数(PPI)の上振れに反応してドル円は156.74円まで上昇するも、前月分が下方修正されたため一時的。米長期金利が低下すると156円台半ばで伸び悩む展開となった。

 本日のドル円相場は、4月米消費者物価指数(CPI)を前に様子見ムードとなりやすく、引き続き限られた値幅の中での動きを迫られそうだ。ただ、円を買う材料に乏しい状況が続いている点を踏まえ、方向としては上サイドが意識されやすいとみる。

 昨日ドル円は約2週間ぶり高値を付けたとはいえ、足元の動きを振り返ると、とても「投機的な動き」とは言えない。値幅と時間で振り返ると、3日安値(151.86円)から14日高値(156.74円)までの値幅は5円弱、日数は7営業日。それに対し、4月29日に今年最初の介入とされた時の直近の動きは、前営業日26日の17時頃から当日の10時半過ぎの僅か18時間弱で5円を超える円安であった。13日にイエレン米財務長官が為替介入をけん制する発言をしていることもあり、市場ではさらなる円買い介入に踏み切る公算は小さいとの見方が強いことも、円売りの流れに拍車をかけている。

 また、日銀が追加利上げを行う状況ではないことも、日米金利差を背景とする円売り・ドル買いを後押ししている。前週発表された3月の賃金統計では物価変動を加味した実質賃金も過去最長の24カ月連続のマイナスとなった。

 需給面では、仲値は引き続き注目したい。今週は月・火いずれも仲値公示に向けてドルが買われており、本日はゴトー(5・10)日ということで仲値に向けて動き出しがあるか注目したい。

 そのほか材料面では、NY市場で複数の米指標が発表予定となっており、その中でも4月CPIに関心が集まっている。仲値を通過すると、材料がなければ、ビッグイベント前ということで様子見ムードが漂うことも考えられる。

 テクニカル面では、13日に直近高安(4月29日高値160.17円-5月3日安値151.86円)の半値戻し(156.02円)を達成したことで、直近高安の61.8%戻し(157.00円)が視野に入っている状況である。

 なお、オーストラリアでは1-3月期四半期賃金指数が発表予定。市場予想は前回と変わらず前期比+0.9%となっている。昨日、豪政府は予算案を発表し、インフレ見通しについては今年中に豪準備銀行(RBA)の目標レンジ(2-3%)に戻る可能性があるとした。これはRBAの予測より12カ月早いものだ。直近の消費者物価指数(CPI)が予想を上回る伸びとなった事で一部では追加利上げ観測も浮上していたが、予想よりも弱い内容となった場合はそうしたタカ派的見方は息をひそめることとなり、豪ドルの重しとなる可能性がある。市場での金利見通しが交錯するなか、神経質な展開が予想されるため注意したい。

(川畑)
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