週間為替展望(ドル/ユーロ)-米5月PCEデフレーターに注目

◆ドル円、米5月PCEデフレーターや米大統領選挙候補の討論会に注目
◆日銀会合「主な意見」での国債買入れ減額への見解に注目
◆ユーロドル、30日のフランス総選挙に向けて軟調推移か

予想レンジ
ドル円   156.00-161.00円
ユーロドル 1.0450-1.0800ドル

6月24日週の展望
 ドル円は、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している5月のPCEデフレーターを見極めて、ドット・プロット(金利予測分布図)での年内1回の利下げ示唆と市場が織込む年内2回の利下げ見通しのどちらが米国の物価情勢を反映しているのかを見極めることになる。

 米5月PCEデフレーターは前年比2.6%と予想されており、4月の2.7%からの伸び率鈍化が見込まれている。なお、同月の消費者物価指数(CPI)は3.3%、卸売物価指数(PPI)は2.2%へ伸び率が鈍化となっている。

 27日に予定されているバイデン米大統領とトランプ前米大統領との討論会にも注目したい。ウクライナ、中東、対中政策への見解にフォーカスすることになりそうだ。欧州議会選挙では、「自国第一主義」の右翼勢力が躍進しており、「米国第一主義」を標榜するトランプ前米大統領が優勢となった場合、ウクライナを軸にした欧州の地政学リスクへの警戒感が高まることになる。

 また、日本からは、13-14日の日銀金融政策決定会合での「主な意見」が公表されるが、7月会合に先延ばしされた国債買入れの減額計画に対する見解に注目。会合では、長期国債買入れを減額する方針が示されたが、今後1-2年程度の具体的な計画は7月の次回会合で決定することになった。植田日銀総裁は会合の定例記者会見で、現在月5兆7000億円の買い入れに関して「減額する以上は『相応』の規模になる」と述べている。主な意見では、「相応」という減額規模に関する各委員の見解に注目することになる。

 ユーロドルは、30日のフランス下院選挙への警戒感から上値が重い展開が予想される中、6月の独Ifo企業景況感指数や消費者信頼感指数などで欧州の景況感を見極めることになる。ただ、欧州の政情不安から株式相場も下落基調にあるため、景況感が改善していてもユーロの上値は限定的だと予想している。欧州委員会が、フランス、イタリアなど7カ国が財政規律に違反する恐れがあるとし、過剰赤字手続き(EDP)を開始することを勧告したことも、ユーロの上値を重くする要因となっている。

6月17日週の回顧
 ドル円は、週明けから連日下値を切り上げる展開。5月米小売売上高など弱い米指標を受けて下押す場面もあったが、米長期金利の上昇やSNBの利下げを受けたドル買いにつれて14日の高値158.26円を上抜けると一時159.13円まで値を上げている。ユーロドルは、仏下院選挙への警戒感から週明けに1.0686ドルまで下落したものの、国民連合率いるルペン氏が「選挙で勝利した場合、マクロン大統領と協力する」と発言したことから1.0761ドルまで反発した。しかし低調なユーロ圏6月製造業・サービス業PMI速報値を受けて1.0671ドルまで反落した。ユーロ円は167.96円から170.45円まで上昇している。(了)
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