東京為替見通し=ドル円 調整に気を付けながらも下値の堅さは継続か

 昨日の海外市場でドル円は約半年ぶりに140円台に乗せ、140.23円まで上値を伸ばした。市場予想より強い米経済指標を受けてドル買いが加速した。ドル円につれてユーロ円が150.32円まで上昇した。ユーロドルは1.0707ドルまでユーロ安ドル高に振れた。ユーロ圏景気の減速懸念、米長期金利の上昇が重しとなった。

 本日の東京為替市場でドル円は、今晩発表の4月米PCEデフレーター/同コアを控えた調整には気を付けながらも基本的なドル高円安トレンドは継続するか。昨年10月高値151.95円から今年1月安値127.23円まで下落した幅の半値戻し139.59円をしっかりと超えてきており、フィボナッチリトレースメントで次に注目されるのは下値から61.8%戻しの142.51円となる。

 昨日の東京朝に債務問題を懸念した格付け会社フィッチが米格付けを「レーティングウォッチネガティブ」に指定した。これを受けてドル円は急落したが、それでも下値は138円後半までだった。東京勢の本格参入前で流動性が薄い時間帯でさえも下げ幅が限られ、ドル需要の根強さがうかがえる。

 植田日銀総裁が就任後も日米金利差が縮まるどころか広がっていることが、ドル高円安を強めている要因の1つ。昨日も同総裁は大規模な金融緩和の継続を改めて強調。本日発表の4月企業向けサービス価格指数では前年比予想が1.4%と前回から減速する見込みだ。欧米でサービス価格が加速しているのとは対照的であり、年末にかけてインフレ低下とする日銀見通しを裏付けることになるか。

 一方、先週末にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げ休止を示唆したものの、米金利の先高観は強まっている。本日ニューヨーク序盤にはFRBが金融政策を決定するうえで重要視する米PCEデフレーター/同コアが公表予定。4月分となる今回の市場予想は、総合が前年比4.3%と3月からやや伸び率が加速し、コア前年比は4.6%で横ばい見込み。一昨日にウォラーFRB理事が「次回も追加利上げとなる経済データが出る可能性」を示唆しており、指標への注目度はいつも以上に高そうだ。

 なお、東京午前には4月豪小売売上高が発表される。市場は前月比0.2%と前回から0.2ポイント低下を予想。もし更に下振れた場合、特にマイナスとなれば印象は悪そうだ。株式市場の堅調さが見込まれるなか発表までリスクオン地合いが続くと思われが、結果を受けた反動には気を付けたい。

(小針)
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